she is…

□ACT 12 Collapse
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あの時、
俺が死を恐れなかったのは



心奥底で




望んでいたからかもしれない。
















●●●●●

















「うわっ…!!」










=ガシャン!=










「っつ…


…此処は、」











何処だと思った矢先






自らが着陸した破片から
顔を上げて

驚愕









視界に飛び込んできた一面の赤。




街が、木々が、
燃えている。


烈火に囲まれた空間。




嫌な焦げ臭さが鼻につく。


















「っ……誰、か」




「!!! 大丈夫か!?」








数歩の距離で
負傷している一般人が倒れていた。





すぐさま駆け寄った。














瞬間、

カチャリと物音がした。







「!!!」






=パァン!=











銃が装填される音だと
理解するより早く

負傷者を抱えて走り出した。



物陰に身を隠して体勢を整える。






敵が近くにいるのか…?



















「そこにいるのは分かっている!!
人質を解放して大人しく出て来い!!!」

















知っている。この声。




GUNの、兵士だ。













「っオイ!!
どういうつもりだオマエ!!!
敵と味方の区別ぐらい出来るだろう!?」





勢いのまま物陰から姿を現した瞬間、

何発かの弾丸が身体を掠めた。








「ぅぐ…っ!!」



「貴様、何を言っている!?


我らを裏切り!!
この惨劇を作り出したのは!!
まぎれも無く貴様だろうヴィター!













「……は…?」




















オレがこの現状の原拠…?



まさか、そんな事はありえない。





いつ?


だって俺は




さっきまで何もない荒野にいたのに?





これじゃあまるで

















「ヴィター!









「ソニッ…ク?
みんな?」





















バッと振り返る。



背後にソニック、



いや、見知ったみんなの顔が歪んでいるのが見えた。





傷ついた身体をかばってこちらを見ている。
















…周りは大規模な火災




ソニック達の負傷






見据える、

















「俺、なのか…?」











夢だ。






あの時、シオンが見せた夢と重なる。












じゃあ、ここは俺の世界?







それとも、こっちが夢?











俺の思考を否定するように



被弾した脚からおびただしい程の出血で紅に染まる大地。













嘘、だろ








「っ!!

俺は!!
この世界に帰ってきたばかりなんだ!!だ、から…














次に続く言葉は出なかった。











…な……!?」













被弾した所とは別に、

ぬるりとした何かが視界を遮った。







紅い液体。







そこから血は出ていないはず。










ポタリと、
服に染み込んだ、紅。





絶望を映した。














「(返り…血…?)」











なんで?














「教官…何故こんな真似したんですか、

どうしてこんな…」




「オレの…オレの家族を返せ!!
返してくれ!!」



「消えろ化け物ォォ!!」









憎悪だった。


そいつらの目は大切な何かを失ったような。



叫びを、嘆きを訴えて。

























…どうして




コイツ等は俺に銃を向ける…?










「…化け物だと…!?」








俺が
コイツ等の敵だから。













どうしてみんな顔を歪める…?










「他でもない、化け物にしたのは誰だと思っている…?」












オレが敵だから

















…なんで


誰一人信じてくれない…?











「オマエら人間の都合で!!


どれだけの苦痛を強いられたと思ってる!?」















信用?

信用して辿ってきた道筋は
いつもどうだった。



いつもどうなったんだ
















求めた答えは
聞かずとも心に響いた。













「…いらないと…思ったら

いつでも捨てられるってか?」











ああ、どうしてなんだ













「ヴィター…?」













憎い 悲しい 想いが

恨みが悲痛が

唸りを上げて止まない。











「撃て撃てェー!!」







「…!」
















こんな世界で















こんな世界で








生きたいと思うのはいけない事なのか?
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