she is…

□ACT 9 Liberation
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やりたい事がない。
そういう時間が嫌いだ。










ずっとずっと
とにかく退屈だったオレ。










欲しいモノは手に入れる


ムカつくヤツをぶっ倒す










飽きがきたなら適当にアテをさがす。
















その繰り返しだった。








やがてそれすら飽きてきた時、

自分にそっくりな偽善者を殺しに

どうにかして世界を飛び越えていこうかと思った。







まあ、それが終わったら

またさがすんだろうけどな。

体の良い退屈しのぎを。







それがオレのスタイル、

生き方だと思ってた。







でも反面、




何でもいい。


誰でもいい。




この出口がない迷路をぶっ壊してくれるぐらいの



何かが欲しい、と







夢見たりする時もあった事は事実だった。

















●●●●●

















=ズドォオン!!=






『キケン!!

キケン!!!


最終防衛ライン突破されま
=バコォオ!!=
















「よぉ。
やっと会えたなァジジィ。」










カランっと機器の破片を蹴飛ばす彼、スカージはこの基地の最終フロアである巨大な部屋にたどり着いた。

勿論、荒々しい入り方ではあるが。







「おまえさんか!

てっきりヤツと思ったが…
まあいいわい!」












赤い衣に身を包んだ中年男は、悪の天才科学者(自称)
Dr.エッグマンその人であった。









周りは白に囲まれたフロアで、巨大なパイプのような形状だった。




辺りはシン…としていて彼らの声しか響かない。










だが次の瞬間、

スカージの頭上から山のような数のロボット達が降ってきた。



スカージはそれらを素早くかわしエッグマンとの距離をとった。



一方でエッグマンは何とも余裕綽々にその光景をお馴染みのホバリングする丸い機器に乗って眺めていた。





「おいおい、客人は丁重にもてなすもんだろ?

これ以上面倒事増やすんじゃねーよ」




「なぁにをいうか。
これこそ我が最大の待遇じゃわいスカージ!


まあ貴様を招待した覚えはないのだがな!


行けぇい我が戦士達よ!」





エッグマンの命令を合図に両者は走り出した。










「しゃあねぇ
てめーのガラクタで遊んでやるよ!」













●●●●●














ゾーン警察で一つ、


スコールフォレストで一つ


ギャンブリングエリアで一つ


そして前回のスターダストで一つ。








この時点で、4つめ。











「コレで、5つめ。」






半分以上の数。


スカージ捕獲作戦実行に条件は一応達していた。



けど、








「本当に



これで、いいのか…?」







前回、


スカージが俺を救った時カオスエメラルドは4つだったんだ。





なのに何故
スカージがスーパー化出来たのか。(というかまあスカージのスーパー化出来た事自体初めて知ったが)




本人の意思とは別に起こったらしい奇妙な事実。






数々の事もかねて何かがひっかかる。








「もし誰かが仕組んだ事ならカオスエメラルドに干渉しているとみて間違いない…のだが。」




一刻も早く
元の世界に帰りたいのは山々だ

が、


俺がこの世界に飛ばされたのも何かしら意味合いがあるのではないかと思った。









それに









「…。」







これで

スカージに会う事はない。


捕縛して警察に突き出す。










そんな当たり前の事が出来るのかと問う自分がいる。




ひどく、罪悪感を覚えていた。









「…情でも湧いたのかよ、

バカらしいな…。

あんなヤツなんか…」











不思議だ






無意識なのかは知らないが
それでも言葉とは裏腹に






嫌だ、なんて思うのはやはり俺はおかしいのだろう。









頭の中でスカージの名前を出すと必ず浮かんでくるのは

あの意地の悪い顔。



次に声。



俺を、
からかうように俺の名前を呼ぶ声。



それと今まで一緒にいた下らない時間とか。




全部ヤツを欺く為の嘘の残像なのに、













消えない。











胸が変につっかえるような感情が巡った。
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