真夜中のお伽人形

□第3話 生徒会長の秘密
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「金山さん!おはようございます!!」

「おはようございます。」

「会長!写メ1枚お願いします!!会長!!」



第3話 生徒会長の秘密



朝の登校風景は騒がしい。

金山に一声かけてもらおうという女子が毎朝下駄箱付近に待機しているのである。

毎日彼の写真を撮って個人サイトにアップしている者。

ブログに1日の行動を記録をつけているストーカー紛いの者。

中には、金山の生写真を他校の生徒に売っている者もいるらしい。

全校生徒の下駄箱やロッカーには全て鍵がついているが、それは金山が入学して以降の話だという。

隙あらば金山の私物を盗もうという女子が何人もいて、うっかり何かを置いておくことすら危ないのだ。



「ち…近づけない…っていうか、むしろ怖い…。」

「1年女子はうっかり金山会長に声かけると女子の先輩に呼びだし食らうって。向こう行かないほうが身のためだね。」

「やっぱり…思った通りだよ〜…。」



柱の陰に隠れ、桜子はため息をついた。

金山に「恋人」宣言されて2日目…。

状況は桜子が想像したよりずっと悪かった。



「前に金山さんと噂になった女子は、○ちゃんねるに裸の写真ばら撒かれたっていうしね…やっぱ、お昼こっそり会いに行くだけで我慢しないとか…。」

「私はそれだけでも気が重いんですが…。」

「何暗い顔してんのさ〜。こういうのって結構燃えない?」

「千歳…何で楽しそうなの…?」

「学校一のイケメンとの禁じられた愛、って女子のアコダレですよ桜子さん?いやぁ、青春ですなぁ♪」

「もーっ!他人事だと思って面白がって!!」



1年の女子の中にも、何とか金山に近づこうと生徒会に潜り込むことを画策したり、バイト先を調べたりする者が現れた。

だが、生徒会は2年からしか入ることができず、家庭が裕福な金山はバイトなどしていない。

生徒会との両立ができないという理由で現在は部活にも入っていない。

学校中のほとんどの女子が金山の傍に寄れず、歯がゆい思いをしている。

そんな中で、桜子が金山と付き合っている(?)事は当然、千歳以外には明かす事はできなかった。



「大丈夫だって。私は桜子の事応援してるし。何かあったら助けてあげるって♪」

「ありがとう…千歳。」

「その代わり、『何があったか』はちゃんと報告するんだゾ?あのイケメンにどんな性癖があるのか…超気になる〜♪」

「やっぱり面白がってるじゃん!!」

「いいじゃぁん。親友の特権デショ?」



桜子のもやもやした心境が晴れないまま、午前中の授業はあっという間に過ぎていった。

そして、ついに昼休み…。

千歳に「ガンバレ〜」という呑気な応援をされ、桜子は意を決して生徒会室に向かった。




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