dream
□『別れと誓い』
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あれから1年が経ち、私たちはお互いを呼び捨てで呼び合うようになり、一緒に修行をしたりもする仲になった。
今日もサスケとの修行を終え、帰り道を歩いていた。
『ふう〜…今日も修行疲れたなぁ〜…。』
そんなことを呟いていると、後ろから声がかかった。
「お嬢様っ!!」
振り返ると、顔色を変えた召使のリエの姿が。
『リエ、どうしたの?』
リエ「ご主人様がっ…!!」
『!!』
玲奈は話を聞いたとたんに走り出した。
((お父様っ……!!))
屋敷に着くと玲奈は父のいる部屋に向かって走った。
そして部屋の前にたどり着くと、バンッと勢い良くドアを開け、中に入った。
『お父様っ!!』
召使「お嬢様…!!」
中を見ると、父のベッドの周りを召使たちが囲んでいた。
玲奈はその輪の中に入るともう1度声をかけた。
『お父様っ!!』
そこには弱りきり、ぐったりとしている父がいた。
だが、まだ息はあり、苦しそうに
父「玲奈・・・」
と玲奈の名を呼んだ。
『お父様!!お願い、どこにもいかないで!!お父様は玲奈のそばにいてくれるって約束してくれたでしょう!?』
父「あぁ…そうだったな…。だが、おそらくもう無理だろう…。本当にすまない…。」
『いやよ!お父様っ!!』
父「玲奈…お前を残していくのは辛いが、仕方がないんだ…。だから最後に2つ…約束をしてくれないか?」
『なに…っ…?』
玲奈は泣きながら尋ねた。
父「お前はこの家の、たった1人の…あととりだ…。だから、この家をいつまでも…守ってほしい…できるね…。」
『はい…』
父「そして…これは…お母さんも言っていたかもしれないが…簡単に木の葉の里の者以外に…
我ら一族の姓を…涼白の名を…教えてはならない…分かったね…?」
『はい…』
父「いいこだ…玲奈…。それから…」
父はエリの方に視線を移した。
父「玲奈を…頼む…。この家にはもう…頼れるのは君しかいないんだ…。」
エリ「はい…ご主人様…!必ず…必ず…お嬢様を立派な忍者にしてみせます…!!」
父「ありがとう…。みんなも…玲奈を…頼む…。」
召使「もちろんでございます…!ご主人様…!!」
その言葉に父は笑った。
父「ありがとう…。そして…今までのこともすべて…本当に…ありがとう…。」
そう言うと、父は玲奈の頭を優しくなでた。
父「玲奈…お父さんはいつでもお前を…見守って…いるから…な……。」
『お父…さま…?お父様…っ!!』
父は最後の一言を言い終えると静かに息をひきとった。
『お父様っ…いやよ!おいていかないでっ…!』
リエ「お嬢様…」
『だめだよ…お父様がいなくなったら、私はっ…ひとりぼっちだよっ…!!』
玲奈は涙を零しながら叫ぶように言った。
そんな玲奈の肩の上にリエは手を置いた。
リエ「そんなことはありません!!お嬢様はっ…ひとりぼっちなどではありません!!
お嬢様には私たちがおります!ですから…そのようなことは……。」
涙を溢しながら訴えるリエに、玲奈はぎゅっと拳を握った。
『リエ…ありがとう…私…頑張るよ…!!お父様のためにも…この家のためにも…強くなる…!』
リエ「お嬢様…」
リエは玲奈をぎゅっと抱きしめた。
他の召使たちも2人を見つめながら涙を零したのだった。