夢の断片

□時の引き金
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『クロノ…覚悟、できてる?』


「まことに申し訳ありません。」



そういって頭を下げるクロノに僕は溜息をつく。あたりはもう真っ暗で、正直もう野宿しか道は残っていない。途中ではぐれたルッカとロボは無事だろうか…と一瞬心配になったけれど、あの二人は途中で村に戻ると言っていたのを思い出し小さく溜息をついた。




どうしてこんな森の中で野宿する羽目になっているかというと、さかのぼること三時間前…。



「じゃあここでルッカとロボは村に戻ってくれ。俺はのみと一緒にまだ先にすすむから。」


『気を付けてね、ルッカ、ロボ。』


「私たちは大丈夫だけど…のみとクロノは大丈夫?」




不安気に聞いてくるルッカにクロノは自信満々に答える。



「大丈夫だって!俺がいるんだし!」




そういって僕の手を取って走り出したのだ。…そして今現在の迷子に至るわけである。




『…ルッカの心配ってこっちだったのかな…。』



「まことに申し訳ありません。」




更に運が悪いことに雨まで降り始めてしまった。一応クロノが見つけてくれた洞窟の中で雨風はしのいではいるがやはり寒いわけで。



『ハァ…。ほんと、どうしよう。』



一応雷の発火で薪に火をつけてもらっているのでモンスター避けにはなるのだが…。



『くしゅっ…!』



如何せん寒いのだ。雨に濡れた状態で服も乾かせずにこんな場所にいるんだから仕方ないけれど、これでは風邪をひいてしまう。



「…ごめんなのみ。」



クロノは僕を抱き込むようにして座るとこっちの方があったかいから、と言って僕にばさりと布をかけた。



「今は手元に濡れてないのがこれしかないんだ。ごめんな。」



俺が起きているから、のみは寝てていいよ。そういって僕の頭を撫でるクロノの手と、その体温に僕はだんだん眠くなっていって。クロノが起きているならいいかなぁと思いつつ意識を手放した。
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