夢の断片
□時の引き金
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「のみ、大丈夫か?」
そういって僕の方を気にしながら進むカエルに申し訳なく思いながらも首を縦に振る。実は先ほど足を挫いてしまったのだ。情けない話だけれど。
『大丈夫だよ。ごめんね、カエル。』
さっきまで三人でパーティーを組んでいたのだが、最後の一人は戦闘後に何かを見つけ、走っていってしまったのだ。
「いや、エイラに追い付こうとした俺も悪かった。…考えてみれば原始人とカエルだ。森の中で動き回るのには馴れてるからな。」
僕を気にしながら進んでいくカエル。僕の為に邪魔な枝を折りながら進んでくれている。
「クロノだったら背負えるのかもしれないが…。」
『ううん、大丈夫だよ。歩けないわけじゃないし…。』
少しびっこをひく程度だ…と思う。今はいつ襲われるかわからないから気を張ってるし実際はわからないけれど。カエルにそんな顔をさせてしまう自分のふがいなさのほうが大丈夫じゃない。
「それにしてもエイラはどこまで行ったんだ…。のみ、もう少ししたら一旦森から出れるはずだ。そしたらクロノ達を呼ぼう。」
僕の前を行きながらそういうカエルに更に申し訳なさが募る。僕のせいで…。
『ごめんねカエル。』
「なぁに構わないさ。…のみはここでおとなしく待っているといい。」
そういうとカエルはグラントリオンを抜いて走り出した。向かってきたモンスターたちを軽くいなし蹴散らしていく姿はまごうことなき勇者だ。
「ほら、あと少しで森から出られる。そしたらロボにでもエイラを探してもらえばいいさ。」
『うん。…ありがとう、カエル。』
モンスターを一人で蹴散らしてしまったカエルはそういって笑うと今度は僕の隣に来てケロロっと鳴いた。
「心配しなくても俺がついてる。今のうちは大丈夫だ。」
頼もしさにぎゅうと抱き着いてしまったのは二人だけの内緒だ。