夢の断片
□夢を日記に書き綴る
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『宗ちゃん!』
夢に入るとすぐに背中にぶつかる衝撃に宗太郎はすぐに溜息をついた。
「危ないからいきなり抱き着いてくるなのみ。」
そう言いながらも宗太郎はのみの頭を優しく撫でる。それをのみは目を閉じて受け入れる。
『でも…久しぶりでしょ?宗太郎に会いたくて仕方なかったんだもん。』
ぷくりとほほを膨らますのみに、宗太郎は小さく女子か…とつぶやく。
「…まぁいい。俺は先に行くが、お前も付いてくるんだろう?」
『…ダメ?』
「…勝手についてくるくせに。」
そういうと宗太郎はのみの頭をもう一度撫でて歩き出す。のみは宗太郎の手を握る。
『えへへ…宗太郎、大好きだよ!』
「…知ってる。」
宗太郎は歩き出す。目的もなく、さまよい続ける。後をついてくる彼には言っていないこと。
エフェクトはもう、とうに揃っているのだ。
けれどそれを言い出す勇気は宗太郎にはない。
『宗太郎。…知ってるよ。でも大丈夫。出たくないならでなくったっていいんだよ。夢からなんて。…だから、もう少しだけ待っていて。』
のみの言葉に宗太郎は目を見開いた。のみは相変わらずにこやかに宗太郎を見つめている。
「…なんで知っている?」
『いままでたくさんの夢を渡ってきた。だから、分かるよ。この夢はもう、最終章に入っているってことくらい。でも、僕はあえて言うよ。待っていて。』
「…のみ?」
『僕が助けに行くからね…宗太郎。』
その言葉に宗太郎は小さく溜息をついて待ってる。と言葉を発した。
「…じゃあ、行こうか。」
『うん。』
そういって二人は歩き出した。また、あてもなく。