男女遊戯
□愛し君へ・弐
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「気持ちは有り難いがな…お前はまだ高校生だろう」
「有りがちな常套句だな、良いじゃねぇか教師と生徒が付き合っちゃいけない、なんて法律無いだろ」
「……とにかく、諦めてくれ。剣の腕だけでお前は人を判断するのか?まったく」
サアサアと細かい雨粒が傘にはりつき一つの水滴となって地面へと滑り落ちていく
もう校門を過ぎていく影はとうに無く、雨足も強くなろうとしているのか政宗が目を伏せた数分で、傘に張り付くだけだった雨粒は傘に当たって軽く跳ねている
「俺には重要なんだよ…」
小さくそう呟き、ギュッと折りたたみ傘を握る政宗の手に力が籠る
その手に稽古で出来たのか青アザや切り傷が両手にあるのを見て小十郎は眉をしかめた
「……始業まであと三分だ、早く教室に行け」
「………っ諦めねぇからな!片倉小十郎!!」
水溜まりの出来始めた校庭をバシャバシャと走り行く政宗を見送って、小十郎は自らの授業の開始が二時間目からだった事に感謝した。
同時に鳴り響く始業の鐘。
創立者同士が親しい仲で、同時刻に鳴り響く設定になっている鐘は上手く音程が異なり、絶妙なハーモニーを奏でる
(……この鐘だけは、いつまでも変わらねぇ……まったく、いつからこんな事になっちまったんだかな)
十年前―…小十郎がまだ戦国校の生徒だったときからこの鐘は今と同じ様に鳴っていた。
けれど昔はこんなにも両校の仲は悪くなく、付き合っている人間なんか腐る程居て、関係は良好。
文化祭や体育祭になればお互いに見に行ったり、力仕事が要ると言われれば戦国校の男達が出張ったりしたものだ
小十郎が卒業してから数年後、戦場校の学園長が代わり学校の方針が徹底した学業優先主義に変わってから両校の仲が急速に冷えきったと聞いた