華籠恋謳
□preferenze
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「・・・・・・よし。」
出来上がった膳を抱えて片倉小十郎は気合いを入れた
彼が主君である伊達輝宗の長男の梵天丸に仕え出して三ヶ月がたとうとしていた。
人間嫌いの梵天丸と打ち解けるのは容易な事ではなかったが、最初に比べれば物を投げられる事もなくなり、逃げられる事も少なくなり、だんだんと名前も読んで貰える様になってきた、
そんな矢先。
一つ小十郎は気付いた事があった。
それはいつものように膳を下げようとした時、ふと目に留まったのは皿の端の方に残された野菜・・・