男女遊戯

□愛し君へ・壱
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長曾我部元親は悩んでいた



毎朝こそこそと影から戦場校の正門を見張っているのだが意中の相手は全く現れない。





「もうちょっと具体的な描写をくれたら探して見るって」
「ああ、お前のあの幼なじみか…ちょっと待て、昼休みまでに絵書くからよ」
「まさか小太郎に隣の学校に通ってる幼なじみが居るとはねぇ、でも此処まで毎日見てて姿が見えないってのもなぁ…裏門でもあるんじゃないかい」
「かもな……」



毎朝七時半から門を見ている元親はクァア…と欠伸をすると机に突っ伏した



「今日は日本史ねぇよな…寝て過ごす」
「無いけどさ、また誰か先生から聞いて片倉先生が来たらどうするんだい?“一日中寝てやがる奴は何処だ…!”って」
「そん時はそん時だ……眠い。」
「釣りに行く時は5時に起きても一日中元気なのになぁ…」
「……」



こくん、と頷いた小太郎を横目に見て元親ははぁ、と深い深い溜め息を吐いた



「最近寝られないんだよ……あの女の事考えると……」
「…初恋した女子中学生みたいだな」
「……」
「会いてぇな…一目でいいからよ……」





そう呟きながら元親が眠りに落ちた頃、その意中の相手である毛利元就は自らに好意を寄せる者がいるなど知る由もなく、至って真面目に授業を受けていた


 
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