遊戯咏
□落花流水・伍
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「……んな心配すんなって、印鑑貰いに行くだけだ。すぐ帰って来るからよ、んで?今日も小田原に行くのか?」
「あ、はい。寄られますか?」
隣で自分を心配そうに見ていた幸村の頭を撫でて政宗は鞄を持つ。
「じゃあ帰ってきたら夕飯食べに寄るからよ」
「はい」
政宗の実家は電車で三駅先にあった。
中学二年までは実家に居たのだがとある事情で学校の近くのマンションに引越したのだった。
乗り込んだ電車の中でも政宗は落ち着かなかった。
実家に行く時はいつもこうだ、いたたまれなくなる。