遊戯咏
□変わりゆくココロ変わらないモノ
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元就3歳元親4歳の時に出会った二人はずっと仲が良くて、主にひ弱ですぐ泣く元親を元就が守って、世話をやいて居たのだがある日突然元親が四国の祖父母の所に引越してしまう事になってしまった。
新幹線に乗り込んだ元親は珍しく泣いておらず、じっと下を見ていた、とやけにリアルに元就は覚えている。
きっと元親はボロボロ泣いて、両親を困らせる位自分にすがってくるだろう、そうしたら引越なんて無くなるかもしれないと幼心に思っていた彼の意に反していたからかもしれないが、元就もつられて下を向いたまま涙を堪えていた
それは小さいながらのプライドであり、自分が泣けば元親は泣くと分かっていた。
でもそれは出来ない、元就は兄と“笑って送り出してあげよう”と約束したのだから自分が泣くわけにはいかなかった
甲高い新幹線の出発音に、顔を上げようとしたが涙が溢れそうで元就は頭をたれたままだった
「……もとなり」
「……?」
「おれ、もっとつよくなってかえってくるから。だから…またあうときにはこんどはおれがもとなりをまもる!」
「!……っきさまにまもられるようなことはないわ!」
ぱっと上げた顔の前でゆっくりとドアが閉まる
「あ……」
「またな、もとなり」
「…っかえってこなければぜっこうだからな!」
発車した新幹線が見えなくなってから元就は漸くボロボロと涙を溢した
それは元親も同じで結局新幹線を降りるまで大泣きしていた事を覚えている