華籠恋謳

□獣眼
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獣の眼だと思った



普段なら俺に向けられる事は無かった、ぎらついた瞳



嫌いではなかった。これが小十郎の本質だと薄々勘づいていたから





そして小十郎はニヤリと笑って、そこで俺の記憶は途切れた













気づけばそこは見たことの無い部屋だった


窓は高い位置に一つあるだけで暗い。


襖を開こうとしても開かず、どうしたのかと思っていると外に見知った人の気配を感じた




「…小十郎…?」

「お目覚めですか、政宗様」

「お前…これはどういう事だ!此処から出せ!」

「…もう貴女の命令は聞けません、もう貴女は独眼竜でも、ましてや奥州筆頭ですらない」

「なに…」




襖が開けられればそこにはぎらついた眼の小十郎が居た





「これでお前は俺の物だ」

「意味、が分からねぇ」

「もうお前は奥州筆頭、独眼竜伊達政宗じゃねぇ…ただの一人の女だ」

「…奥州、は……松永の物になったのか、それともお前か?!」

「いや…お前が愛した土地は伊達の物だ」

「どういう、事だ」








そして俺は、弟が伊達政宗として城主になっている事を知った。


最初に聞かされた時は小十郎まで母上に取り込まれたかと思ったがそうではなく単に扱いやすかった弟を小十郎が利用したのだった




こうして俺は伊達政宗でも奥州筆頭でもなくなってしまった





 
 
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