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□第二章
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〜木本友木〜
平和な三時間目の授業になるはずだった。
…んだけどね。
「“異能”保持者、木本友木!鳳凰院白第一皇女様の命により、お前を拘束する!!」
なんか、大の大人がたくさん来た。
あーあ、何ばらしてくれちゃってんのさ。折角今まで隠してたのにさぁ。
しかも拘束って何さ…。
「どこにいる!早く出てこい!!」
あーうるせ。
んなの嫌だけどな〜。
でもみんなの視線が痛いほど突き刺さる。
仕方ない、行くか。
「は〜い、僕です」
ありえねー、ってほどじゃないけど、嫌だね、うん。
仕方ないから廊下にいる大人たちの所へ近づいてあげよう。
廊下に出る。そしてちらりと隣のクラスを見る。やっぱり同じような格好の人たちがいる。僕だけじゃない、ってことか。
あ、警戒してる。
…僕の“異能”人を傷つける力じゃないんだけどな〜…。
意味無い。
そう思うとちょっと笑える。
「な、何を笑っている!!さっさとこっちへ来い!!」
「だから今行く所じゃないです…」
か、というと同時に、スタートを切る。
つまり、逃走。
「なっ…!逃げたぞ、追えッ!!」
いい大人が、必死になって僕を追いかける。
まぁ、僕らを捕らえに来たならある程度の身体能力があるんだろうけど、僕らにしたら一般人と同じ。
一応言っとくけど、僕はこの大きな学校のなかで、短距離・長距離共にトップ5に入るからね?陸上部なんかよりずっと早い。
ホントはもう少し早く走れるけど、あんまり早いと色々怪しまれたりするし!
「…待てッ!!」
「待てっていわれて待つ馬鹿じゃないね」
無様にも、僕を追いかけている大人たちは次第に少なくなっていく。
ちなみに僕はまだまだ余裕。