GODEATER

□序章「気が付けば極東支部」
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俺の名前は風月護。
今年で19歳。

唐突に悪いが、異世界を信じる人はいるのだろうか。
居たとしても、一般的には鼻で笑われるか、公言すると社会的に終了する可能性があるか。
あったらいいなー程度なら皆思ってるかもしれないが。

で、何でそんな話をしているかと言うと。

『覚悟が決まったらその神機の柄を握ってくれ』


何でこうなった。俺にもわからない。寧ろ説明してくれよ!
……投げやりになっても仕方ないから状況を説明すると
夜、寝て目覚めたら身長は縮むわ(15、6歳相当まで縮んだ)、見たこともない景色があるわで散々だった。
しかも訳の分からん化け物と戦うことになっていた。

……つまりはそういうことだ。

外は荒れているし、何だここは。
というかアラガミとか神機とかゴッドイーターって何だ。嫌な予感しかしない。

「はあ……面倒くせえ」

思わず目上の人(多分)に聞こえるかもしれないのに呟いてしまう俺はきっと悪くないのだろう。
誰だっていきなりこうなるとは思わないだろうし。

さて、落ち着いたところで神機とか言う物騒な武器を見つめる。
どうやらこれがこれから生きていく上での相棒となるらしい。

この柄を握ってしまえば検査は終わるらしいし、この際さっさと握ってしまおう。もう後は成り行きに任せよう。

「がッ……!?」

そう思い気楽に柄を握りしめてみたところ、腕が『よくわからない何か』に食われたような感触に陥った。
分かりやすく言えば腕が千切れるような痛みが常に襲い掛かってくる。
覚悟が決まったらってそういう事かよ。

「〜〜ッ!?」

声にならない声を上げながら神機を睨む。
どうやら原因はコイツらしい。離そうにも手はしっかりと柄を掴んでいて離れない。こういう時くらい言うことを聞いてくれよ……
意識が飛びそうな痛みの中で以外にも冷静な俺は、霞む視界をクリアにしようと瞬きをする。
目を一瞬閉じるその直前に薄らと神機に座る『人』が見えた、気がした。
少女のようだったが、その表情は無表情……いや、微かに嘲笑を浮かべているように見えた。

何だコイツ。

人の腕こんなにしといて何笑ってんだコイツは。

「うおぉぉああああああッ!!んな訳の分からんモンで死んでたまるかあぁぁあッ!!」

俺はそいつを神機だと無意識に決めつけているが、多分間違ってはいないだろう。神機の上座ってたし。
若しくは俺の妄想か。
……やめよう、自分で言ってて悲しくなってきた。

「はぁッ……ふぅ……」

先ほどまでは重かった神機だが、腕を食らう何かを抑え込めたのか今は嘘のように軽い。
片手で気軽に振れるくらいだ。
この武器が俺を食らおうとしていた、と考えるとこの神機が非常に憎たらしく見えてきた、が、一応自分の命を預ける相棒なので水に流してやろう。

『おめでとう、君はこのフェンリル極東支部初の新型神機の適合者だ。これからに期待しているよ』

いや、期待すんな。
先程までは混乱していた所為か気付かなかったが、何故か体がすごく軽い。
ゴッドイーターとやらになった所為だろうか。
もしそうなら、アラガミという化け物に対抗する為に化け物になるっていうのは皮肉なもんだな。
まあ、ゴッドイーター……神機使いになった以上、もう後戻りはできないだろうし、この世界で生き残るために醜く足掻いてみるとしよう。
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