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□my treasure
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僕には以前から気にしていた事が1つだけあった。
それはクリス先輩と僕が互いに才能を見せあった時にふと頭をよぎったことで。


「今までに先輩は能力があってよかったと思ったことはありますか?」


才能が違うにしろ、よくわからない才能を持っているのは僕も先輩も同じだ。
僕はその力がいいものだとはいえないと思う。
不可解な上に制御ができていないからだ。

それはきっと同じ境遇をもつ先輩もだろうと思って聞いたわけだった。


「ん、あるよ」


この一言で僕の思想がどれだけ吹っ飛ばされたのかはさだではない。

先輩は首にかけていた十字架のアクセサリーに軽くてを当てて僕を見た。


「前に言ったよね、試練は宝に変わるって話」

「はい、教会で言っていたことですよね」

「この力はぼくにとっての試練なんだと思う」


だから…

先輩はそう呟いた後、口を閉じた。
先の言葉は一体何なのか。

何も音を立てず、先輩が次に口を開いたときに紡ぎ出される台詞を待った。


「ぼくは悲観に思わないよ」


握りしめられた手の中にある十字架は擦れたときの無機質な音を出していた。
しかしそれとはうって変わったような真逆の感情、つまりは好奇心とでもいうのだろうか、彼はそんな顔をしていた。


「そう、ですか」


対照的な考え方を示した先輩に敬服の念を感じるのと同時に、自分とは違うんだという期待を裏切られた気分を味わってしまった僕は複雑だった。


「祀木は?」

「え?」

「質問返しだよ」


にっこりと気持ち悪いほど純粋に笑うクリス先輩。
その目は確実に僕をとらえていて、『言葉には出さない何か』を訴えようとしてくる。


「無論ですよ、先輩」


わかってるくせに。
僕が何を思って聞いたことくらい、彼であれば想像に難くないだろう。

確かに僕はこの力に対していい印象を受けていないと言った。
その言葉に偽りはない。


「ずるいよ、それ」


クリス先輩は椅子から立ち上がるとまだ座っている僕を後ろからぎゅうっと抱き締めた。

これはもう慣れた。

慣れたって表現は誤解を生みそうだから訂正しよう。

慣れさせられた。


「…どっちがです」

「どっちも」


何ということだ。
校則違反だろうこんな事。
不純異性交遊ならぬ不純同性交遊。

だけど僕もそうとうきてるらしい。

僕を抱き締めている先輩の腕に手を伸ばしてそっと触れると、感じる体温にふいに笑みがこぼれた。


「よかったに決まってるじゃないですか」


もう言葉に出さなくてもいいだろう。
僕は目を閉じ、この後に訪れるであろう幸せな時間をひとりで確信していた。





my treasure
(あなたに会えたことが)
(僕にとっての宝ですから)



――――
意味がわからなくなった←
一応
祀木→1年
栗須→2年
のときのつもりです。

とりま栗→(←)祀
祀木は栗須といると安心するなぁ程度にしか思ってないです、はい←

文才欲しい…orz

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