戦国BASARA

□scherzando
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〜♪

偶々通りかかったら聞こえてきたピアノの音
今、ここには誰も入ってはいけないのに、

「…あ…」
学級委員として中に入り注意するか、そのまま気にせず立ち去るか、
どちらかにすれば良いのに、
聞こえてくる旋律に聴き入ってしまい、その場に立ち尽くす



不意に音が止む。

弾き終わったのだろう

「…。」そっと扉を開ける
彼は気づいていたかのようにこちらを見つめていた
右目に眼帯をしているようだ
その整った顔に息を呑む

「…誰かと思えば、うちのクラスの学級委員サンじゃねぇか。」
「あ…」
「あーわかってる、今すぐ出てくっての。」
「そ、そうではなくっ!」

何を勘違いしたのかそのまま部屋を出て行こうとする彼を呼び止める
彼は不機嫌な様子を隠そうともしないが立ち止まりこちらを向いてくれた

「Ah?」

そのオーラにびくりと身体が震える

「いま、弾いてたものっ…曲名を、教えてくだされ…」

それでもなんとか言い切る
するとその隻眼から発せられる鋭い光が消え、驚いたような視線に変わる

「何だ、気に入ったのか?」

「えぇ、まぁ…」

「そうか、」

彼はピアノのほうに歩み戻り鍵盤に手をかける
ふと口元が緩む。笑いかけるように。
後ろで揺れるカーテンと相成ったそれは言葉では表せないほどの絵になっていて視線も思考も絡み取られたようだった

「…」

「名前なんてねぇよ、
気分に任せて弾いてただけだ。」

「…なんとっ!?」

凄い、と思うより
もうあの音色は聴けないのか、
一拍おいてもそう思ってしまった

「では、もうあれは聴けないのでござるか…」

「そこかよ、」

「ははっ」笑う彼に「なんでござるかっ!?」反論する

「アンタ、面白えな。」

「なっ!」

またからかわれた気がして反論しようとするが彼に遮られる

「明日の放課後、空いてるか?」

「明日?」

「なんで…」聞く前に答えられる

「空いてたらまたここ来いよ、聴かせてやる」

「ほ、本当でござるかっ!?」

「あぁ、
…っと、じゃ、俺はこれで。」

「へっ?」

気づいた時にはもう彼は部屋を出ていた

「あ、待っ…!」

彼を追って扉を開ける

まだ聞きたいことが、

そう言おうとしたのに、問いかけるべき相手はもういなかった
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