戦国BASARA

□寂寥
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寂しい

時を刻む音が響き渡る我が家で最初に感じたのは胸を締め付けるような淋しさ

愛しい彼――政宗がここに居ない


若くして社長という立場にある政宗が家に帰れなくなるという状況に陥るのは珍しくない

しかし、いつまで経ってもこの淋しさに馴れる気がしない

今日は帰れないと伝えられた時、彼は苦笑を溢した
顔に出ていたのだろうか

(困らせて、しまった…)

己が一番に、馴れなければいけないのに


ふと目に留まったのは彼のシャツ
暫く見つめ、そして――






「――幸村ッ!!」

思ったよりも時間がかかってしまった

我が家に飛び込む

「幸村…ゆきっ!」

落ち着いて考えてみる
現在、針が丁度重なったところだ
何もなければ必ず10時には寝る彼が今起きている筈がない

そこまで考えてそっと寝室のドアを開ける

「ゆ…!!」

暗闇に細められた目が見開いたのは彼が纏っているそれのせいだ

(幸村…)

己が着ていたシャツ

触るとまだほんのすこしだけ暖かい

これほどまでに寂しかったのか


「ごめんな…」

そっと腕に閉じ込める

微かにこぼれた吐息に視線を向ける

刹那少し目を開けこちらを見つめて微笑んだ、と思ったら、すぐに夢の世界へと旅立った

そのさらさらな髪に指を通し、己も目を閉じる


勝ち取った休日をなにに使おうかと考えながら、意識を飛ばした
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