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□無限ループ
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彼は彼のことがずっと前から好きだった。

そして彼もまた彼のことが好きだった。

いわゆる両思いという関係。

しかし、双方とも思いを伝えようとはしない。

"何故?"

そう問うと、
『だって俺たち男だよ?同性愛者なんて気持ち悪いでしょ。
 しかも、あっちは俺の事本気で殺そうとしてるんだから。』

『男が男になんて…受け入れられる筈ないだろ。
 しかも俺達は殺し合ってんだぜ?今更言え無ぇよ。』

"それでも好きなのか"

さらに問うと、

『勿論。』

『…好き、なんだろうな。』

類似している。

"辛くは無いのか"

"他の人じゃダメなのか"

"この関係を続けていくのか"

どんなに質問しても、帰ってくる答えは殆ど同じ。


想い合っているのに。

繋がらない。

想い合っているのに。

伝えない。

なんと滑稽なことだろうか。


好き


たった二文字を口にするだけで、二人の時間は幸せに傾くというのに。

二人は怖いのだ。

今まで築いてきた関係(モノ)が壊れるのが。

繋がるために必死で創ってきた関係が、

鎖のように二人を苦しめる。


なんという悪循環。

片方は離れたくないがために相手を傷つけて。

それに絶望したもう片方がそれでも好きだと傷つける。

そしてそれを受けたほうがまた傷つけ…。


なんと笑えることだろう。



寄り添い
  傷付け、
   また寄り添う。


永遠に続く、傷の付け合い。



無限ループ


(嗚呼、またやってしまった)
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