短編

□For or all your faults, I love you.
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□1■

 昼の屋上は暑い。当たり前だ。初夏である上に太陽が最も近い上に、コンクリートなのだから。だからといって土をひけとまでは言わないが、出来るなら夏は来たくない場所No.1だろう。

 空からの殺人的な熱線とお肌の大敵紫外線が隅の隅まで行き渡っているような屋上は、ホットプレートかはたまたレントゲン機か。

 蝉の声が聞こえてきそうで落ち着かない。

 私は一歩間違えれば(つまりお肌に日焼け止めを塗らなければ)死んでしまうだろう(お肌とかイロイロ大事なものが)、この自殺行為を唆した奴を睨んだ。

 「私を焼いてしまう気。」

 今のところ、疑問形にしなかった所に私はかなり怒りを込めたんだぞという意思を込める。

 その、念を込めて話し掛けた相手は、隅の隅まで熱されていると思われていた屋上の、たった一つのオアシス―――貯水タンクの一日中影になっているところに座り込んでいる。

 「そんな暇なこと、するわけないじゃん。」

 そこは、貯水タンクのひんやりさがある上に、風がよくとおる。
 奴は汗一つかかない涼しい顔で、にやりと私に笑いかけた。

 嫌みなやつ。

 「用って何よ……次、単語テストでしょ、う?」

 急に奴が私に何かを放ってきたので、私は慌ててその小さな塊を両手で挟むように取った。

 「俺、ブラックで。」

 正午の太陽に煌めくそれは、ただの500円玉。ずっと握っていたのか、仄かに温いそれを、さらにぎゅうと強く握り、

 「私はパシリじゃない!!」

 と、踵を帰して屋上の扉をくぐり、校舎の香と太陽の光が届かないことへの安堵の息をつき、体内に貯まった熱気を吐き出し、階下へと続く階段をわざと音を出して降りていく。

 ぱたん…と勢いでしまった扉の音が何だか間抜けに響いた。












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