MY STORY1

□Don't touch
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S視点



まだかよ…




軽く舌打ちをすると


向こうからやっと人間らしきものが


見えてきたことに気付いた。




でも目合うとさすがにな〜


気まずいよな〜




と思ってその人と違う方向を向く。




チラッてみた時妙にガタイがよすぎて…






日本人?…じゃーねーよな〜?



って一瞬思ってしまった。




“速く行け”“速く行け”

何度もそう心の中で繰り返した。




ところが




その男は何故だか俺に向かって
きているようだった。




え…? と思って。



違う っていう答えが欲しくて。




俺は少し右に移動した。
さりげなく。




だがやはりその男は俺に向かって
歩いてきている。




『…み〜つけた』


その男はニヤニヤしながら
そう俺の耳元で囁いた。


‥…‥…‥・・・・・・・・・ぇ?



何、こわい… 雅紀…雅紀…っ

はやく来て…



『な、…なんですか』



『怯えてんの?超カワイイ。
翔ちゃん』



やめて。その呼び方…



恐怖で言葉が喉でつっかえて出てこない。




『ぁ…あんた誰?』



やっと声が出てきた



『翔ちゃんのファンていうか
おっかけ?あ。言葉古いか〜』



なんかこいつ楽しんでる。



俺のファンなのに ・・・・・・怖い。




『ま、そんなことどーだって
いいじゃん。
触らせてよ』




『…ゃだ。』



俺が体触らせるの許したのは


雅紀だけ。



『…やだって言われると燃える』



そう言って俺の身体を抱き締めてきた。


…雅紀じゃない腕に抱き締められた


それだけでも背中に寒気が走る。




逃れようにも力が強すぎて…



それでも俺は、必死にそいつを
押しのけた。




抱かれたままじっとしているのは


雅紀を裏切っているみたいで


その方がいや。



匂いも雅紀の匂いじゃないのに…


黙ってられない…ッ



たすけて… こわい…




『何抵抗してんだよ』



ビクッ



さっきよりも低い声に俺の身体は
震える。



『ここ、敏感なんだろ…?』



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