眠らぬ街のシンデレラ
□桜舞い煙るころ(番外編)〜モノローグ〜
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出版関係のとあるパーティ。
いつもならそんなつきあいはことごとく断って来たのに、たまたま俺が審査員をするコンテストの関係上、断りきれずにここへきた。
予想通り、というか、予想以上に愛想笑いで近づいてくる人間の多い事、多い事。
コネを作ろうとするもの、顔つなぎの為に来るもの、いろいろだ。
しかもそれが出版関係者だけじゃなく、それに関係している芸能人やらモデルやら、タレントやら、いろいろ呼んでいるパーティでいつものごとく、俺はそつなく挨拶をしたり受けたりを繰り返していた。
こんな挨拶、早くすませてしまいたい。
というのも、このパーティには陣内編集長と共にアイツも来ていたからだ。
早く形式張った事から開放されてアイツのそばにいきたかった。
ふと見ると、陣内編集長はさっさとお偉いさんのとこへ挨拶へ行き、アイツは一人でこっちを見ている。
一瞬,目があった。
俺は片手をあげたが、アイツは軽く会釈を返してきやがった。
自分の彼氏に会釈って.....なんだ、それ?
また何か抱え込んでるんだろうか。
「ったく.....何考えてんだ」
俺はアイツに話し掛けようとして歩き始めると,アイツは何を思ったか、携帯を持って部屋を出て行った。
もしかして避けられてる?
それからいくら待ってもアイツは戻ってくる気配がなかった。
陣内編集長をとっつかまえるとアイツの居場所をきく。
仕事で帰ったんだろうか??
「いや、まだここにいるはずなんですが.....」
これじゃあ埒があかない。
俺は会場外の廊下を探しに出ると,アイツが一人でボーッと座ってた。
隣に座るとすごく驚いた様子で俺を見る。
「お前、なんで俺んとこにこないのよ?」
どうしてそんなつらそうな顔をしてるんだ?
ここんとこ、ろくに会えてなかったのはわかってるけど、久しぶりに会ってそんな顔見せられちゃ、気になって仕方がないだろう?
お前は俺のことを思ってだかなんだか知らないが、いつも俺の仕事が一段落した頃を見計らって連絡をくれたりしていたよな。
ここんとこひっきりなしに仕事だったから、俺に連絡を寄越せないでいたんだろ?違うのか?
どうして黙ってるんだ.....?俺には話せない?
「ちょっと付き合え。カジノにいくぞ」
俺は半ば強引にアイツを連れ出していた。