【リード・ワールド】

□第六話 善と悪
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≪神無月 イク≫

私は今、わけのわからない状況に陥っています。

どういう状況か、この状況を説明すると…

食堂の長い机の真ん中らへんに私が座ってて…

隣に伊織が座ってる。

うん、ここまではなにも変わりなくて普通。

そこからがおかしいんだけど…

目の前に不機嫌そうにしながら座ってる若林。(こいつにはもうさんとかはいらないだろうと判断)

その隣ににこにこしてる飯田君。

…うん、変だなぁって私も思ってる。

だってあんな決闘騒ぎでギスギスした関係なのに次の日の朝には今の状況っていうのも…変でしょ?

それで私は朝ごはんでフルーツサンドをちびちび食べながら見てるんだけど…

…伊織、それは私のサンドウィッチだ、あげない。

伊織は普通に鮭定食を食べてるのに私のフルーツサンドを狙ってくる。

目の前の飯田君は朝からトンカツ定食をご飯大盛りで食べてる。

あんなに食べて体調悪くならないのだろうか?

ってか見てるこっちが気持ち悪いわ…;

それで問題の若林…こいつは普通に食パン食べてる。

でも食べ方がおかしい。

なんでメープルシロップがお皿に溜まるくらいかけて食べてるのかが分からない。

ってか理解したくない。

胸焼けしてくるくらい…;

そんな異質な状況で朝ごはんを食べてるんだけど…

「ねぇ〜ねぇ〜?
若林君と飯田君は〜、なんで私たちの近くで食べてるの〜?」

「む………」

「ぁ〜…w
ちょいと若林(こいつ)が用事あってなぁw」

…用事?

私と伊織は二人して首を傾げながら見つめてみた。

…黙ってればかっこいいんだけどなぁ…

隣に座ってる飯田君はなんか肘で脇腹をつんつんしてるみたいだし…

そんな混沌とした状況に陥っていると…

「この席、良いか?」

寝ぼけ眼で髪がぼさぼさになってる日守君が私の隣の席に自分のご飯…わかめスープにおしんこ、鮭の切り身、白ご飯という普通の日本人のご飯みたいになってる。

しかもお箸…どうやら手作りらしい。

「ぁ…うん…」

「すまんね」

平然としながら隣に座ってきて小さく「いただきます」と言ってから食べ始めた。

その日守君を睨むように若林君がパンを食べていた。

「…で?
若林はちゃんと謝った後か?」

その日守君の一言でこの場が一瞬固まった。

「ぁー…大稀…それがこいつ本人目の前にしたらなにも言わずにパン食い始めてさ〜w」

にやにや笑いながら飯田君が答えて。

若林はその目つきなら魔物も逃げ出すんじゃないか?って思うくらいにきつく日守君を睨みつけてた。

「ふむ…さっさと謝っとけよ、若林」

平然と朝ごはんを食べながら言う。

まるで睨まれていることさえ無いことのようにしながら平然としているのがある意味ですごい…;

「なるほど〜♪
若林君はー、イクに謝りにきたんだね〜♪
えらいえらい〜♪」

と、空気もなにも詠まずににこにこ笑いながらそう言った伊織…この子はもう少し緊張感を持とう?;

「えらいえらいーww」

にやにや笑いながら飯田君はおちょくるように笑ってた。

そんな目線にさらされながらも諦めた様なため息を吐いて、若林がこっちを見てきた。

「勘違いで勝手に攻撃した挙句、勝手な勘違いでひどい言い方をしてすまなかった」

そう謝って、しっかりと頭も座りながらだけど下げてきた。

…その態度には好感が持てると思った。

今度から前みたいに若林君と呼んでやろう。(何故か上から目線)

「ん、許してあげようw」

「…なんでお前上から目線なんだよ…#」

「まw
こういうのでは女の子には勝てないんだ、男の子ってのはな?w」

「そういうことさね。
今回は全体的に若林、お前が悪い。
諦めとけ」

「皆に言われて可哀想〜…なでなで♪」

「頭撫でんなっての…#」

皆がそうやって笑ってるのを見て、私はなんとなくこういうのは良いなって思った。

ああいうちょっと過激だけど、あんな喧嘩も必要なんだなって、少し思った。

まぁ…この時の私は全然予想もしてなかった事件とかもあるんだけど…それはまだ先のお話なんだよね…;






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