暗黒世界
□Alone at last(★)
3ページ/3ページ
一通り終わったのか殺生丸は犬夜叉の顔をジッと見つめる。
あいつの細く、キレイな指が鎖に繋がった俺の手首へとのびる・・・。
グッ・・・
あいつの爪が俺の手首に食い込む。
「ッ!!」
「そんなにあの人間のコトが大事なのか・・・?」
「・・・・あぁ・・。」
俺がそう答えるとあいつはスッと立ち上がり、俺から離れ出口へと向かう。
そしてポツリと
「ならば・・・殺すしかないな。」
コレだけはハッキリと聞こえた。
殺生丸は今なんて?
殺す?
一体誰を??
誰かなんてわかっている。
俺の一番大事な奴ら・・・。
今まで一人だった俺を温かく包んでくれた仲間たち・・・。
「止めろ!!!あいつらは・・、あいつらは関係ないだろ!!手出しするんじゃねぇ!!」
俺は力のかぎり叫ぶ。
あいつらがいなくなったら・・。
あいつらがなくなってしまったら・・・。
俺はまた
俺はまた一人になってしまう・・・。
一人になんて戻りたくない!!
「駄目だ・・・。あやつらを殺しておかねば、お前はまたあやつらのところへと帰る・・・。あそこにお前の帰る場所などない・・・。帰る場所など必要ない
」
「・・・なに訳わかんねーこと言ってんだよ・・・。」
「・・・まだわからぬのか・・・犬夜叉・・・。」
「ったりめぇーだろ・・・。」
殺生丸は振り返り、また俺を見つめる。
あいつはいつもとかわらぬ態度で、表情一つ変えず
「お前は私のものだ・・」
そういって一歩づつゆっくりと、確実に近づいてくる。
訳がわからない・・・
「私はずっと前からお前を見てきた。」
何を言っているんだ・・・
「誰にもお前を渡しはしない・・・。」
そっと犬夜叉の頬を優しく撫でる。
「もう何処にもお前を逃がさない・・。」
あぁ、そうか・・・・
そうだったんだ。
たがらこいつは俺にこんなコトをしたのか・・・・。
「もしお前がここから逃げ出そうとすれば、あの人間達を殺す。そうすればお前
の居場所は・・・・。」
どうすることもできねぇ・・・・。
――かごめ、――弥勒、――珊瑚、――七宝、みんな・・・・
「・・・わかった・・・ここにいる・・。だから、あいつらには手を出すな・・
・」
俺がそういうと殺生丸は満足そうな顔おして「・・おとなしくしていろ」だけ言
い残し出て行った。
あかりが消え再び真っ暗な闇が俺をつつむ。
そんな中、俺は一人声を殺し泣いた・・・。
一体いつまでこんな生活が続くんだろうか・・・。
いつになったら俺はここから出られるんだろうか・・・。
今となってはそんなコト考えるのはもう止めた・・・。いや、諦めた・・・。
だって・・・俺は・・・
もう殺生丸から逃げられはしないのだから・・・・。
―――END――――