暗黒世界

□Alone at last(★)
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眠っていたのだろうか・・・。
身体がだるい・・・。
あいつらは俺が急にいなくなり心配しているだろうか。
それとも・・・。

カツッ カツッ

足音が聞こえる。
俺をこんな所に閉じ込めた奴か・・・?


足音がだんだん近づいてくる。

ボワッとさっきまで暗闇だったこの空間に光が灯った。

その瞬間、犬夜叉に衝撃が走った。

俺が閉じ込められていると知っているのは、こんなことをした本人のみのはず。
それに場所を知っているのも・・・・。


「ま、まさか・・・。お前なのか・・・。」

「・・・・・。」

「何とか言えよ・・。殺生丸!!」

そう、そこに現れたのは犬夜叉の兄である殺生丸。

犬夜叉は自分をこんな所へと閉じ込めた兄を憎しみの目で睨み付ける。

殺生丸は何も言わず、無言のままでで犬夜叉の側へとよる。

「・・・手首は痛むか?」

犬夜叉の手首に食い込んだ鎖を撫でながら殺生丸が初めて口を開いた。

「ッ!・・・てめえ、一体どうゆうつもりだ。こんな所に俺を閉じ込めやがって!!さっさとここからだしやがれ!!!」

叫びにもにた犬夜叉の声が洞窟に響く。

殺生丸は表情をかえず犬夜叉をひたすら見つめている。

「・・・オイ!聞いてんのかよ・・・!!」

「・・・・。」

「・・・何とか言えよ。用がないんならさっさとコレほどけよ・・・。俺は・・俺はあいつらんとこ・・・帰らなきゃなんねーだよ!!」

「・・・ッ!!」

ドカッ

「ぐっ!!」

殺生丸の蹴りが、無防備になっている犬夜叉のミゾオチへとめり込んだ。

「黙れ・・・。」

今まで黙り込んでいた殺生丸が突然、犬夜叉に向かって攻撃を仕掛けてきた。

それも何度も・・・。

闘鬼神も使い俺の身体からはいたるところから血が流れている・・・。


俺を痛め付けているときのあいつの目は・・。
奈落に向けられているよりも、それよりも何倍も冷たいものだった。


そんなコトをひたすら繰り返す。

どのくらいの時間が過ぎたのだろうか・・・。

犬夜叉の声も、体力も限界に近づいたその時

「・・・私がお前を繋いでいるその鎖を外したら、・・・お前はどうする?」

・・・?
一体何を言っているんだ?
俺が何処へ行こうが俺の勝手じゃねか。
今までだってそうだったように・・・。

「あの・・・、人間の元へと戻るのか・・?」


何で今になって・・・。

お前は俺が嫌いなんだろ?

だからこんなところに俺を閉じ込めて、こんなもんで
俺を縛り付けて動けないようにし、じわじわと俺を殺そうとしてるんだろ。

なのに、


なのになんでお前はそんな悲しそうな目で俺を見るんだ・・・。

「犬夜叉・・・。」

どんどん殺生丸が近づいてくる。



・・・嫌だ。


ゾクッ

い、嫌だ、・・・怖い!!

恐怖としかいいようの無い感情が俺に襲い掛かってくる。

手足の自由が利かないせいか、より一層犬夜叉の恐怖心を増幅させる。

「く、来るな・・!俺に近寄るな!!」

それでもなお殺生丸は近づいてくる。
そして、


ペロッ・・・


「ひゃ・・!!」

殺生丸は犬夜叉の首筋の傷から流れる血を舌で舐めとった。
首が終わると今度は胸へ。

「や、やめ・・。くっ!!」

胸の傷は深いらしく犬夜は痛みのあまり顔を歪ませる。

そんなのはおかまいなしに殺生丸はひたすら舐め続ける。
そして呟くように

「・・・は・せぬ・」

俺には殺生丸が何を言ったのかわからなかった。

今の俺にそんな余裕は無かった。
ただ感じるのは

傷の痛みのみ・・。
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