ごみ箱

□悲しい話
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目に見えることだけが全てじゃないよね?



悲しい話


七年前からずっと愛している人がいる。テレビドラマでみる大恋愛とはかけ離れたもっともっと残酷な、ジュリエットだって舌を巻くとても悲しいお話なんだ。

あるところに一匹の妖精がいた。バラから生まれた上品できらびやかな妖精だった。妖精達はいつも彼女の周りに集まりお話をしたり、お茶会をしたりそれはそれは楽しく自由な生活を送っていた。
彼女の一番好きな時は晴天の朝焼けである。きらきらした中から出てくる太陽の妖精はみんなから愛されている。この国では曇り空の日が多い。時々顔を出す彼は眩しくて暖かい笑みをくれる。私としては雨の前の方が得意とするのだが、彼の姿が恋しくて湿度の多い日は頭が痛くなったりもした。


ある時風の精が噂を持ってきた。それは朝顔の精と太陽の精が好き合っていると言うものであった。
バラの精はもう悲しくて悲しくてバラの根元で10日間ずっと泣き続けた。バラはどんどん元気がなくなりガーデニング好きの家主が調べてみたら根元が腐っていた。もちろんバラの精は汚い顔で死んでいたそうだよ。

もちろんガーデニング好きな家主は僕だよ。















うふふ、気づいた?
妖精達なんて元々いないんだよ。だって僕の妄想だもん。奴らは恋も失恋も出来ないんだよ。存在自体しないのさ。ね、可哀想でしょ?え、僕の妄想癖の方が可哀想だって?だから最初に凄く悲しい話だって言ったじゃん。

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