お話

□高い塔
2ページ/2ページ


果ての国はほぼ壊滅状態だった。薬も機材もあるのに治せないなんて。ロバは悔しくて哀しくて痛かった。ロバは必死に医者を探した。そしてこの国にただ一人だけ居た若い看護士を見つけ出したのだ。その看護師に全ての知恵と荷物を託した。
それからも高い塔の落雷はずっとロバを追いかけていたし、当たってしまうのも時間の問題だと気づいていたが、後はもう医者に会って報告と少しの愚痴をこぼせればもう良かった。この世での責任は全て果たし幸せそうに雷に打たれた。
医者を打ったのは自分の大誤算だったと分かった高い塔は、このままでは世界中がこの国のように滅んでしまうと感じた。
あんな見習い看護師なんかに国が救えるものか。それより世界危機だ。
そして台風を起こし一国を滅ぼそうとした。伝染病者もウイルスも文化も全てまとめて吹き飛ばす。
地上の様子を見ていた地の神は高い塔に「今すぐ止めろ」と制止をかけるが、高い塔より下にいる奴らのいう事なんか上手くいかないに決まっている。そして国は土地になり台風は収まっていった。

地の神は仲間の神達を集め高い塔に、お前は一人よがりで横暴だと抗議した。高い塔は見下しながら軽くため息を落とした。地の神はすでに怒りが頂点を超え高い塔を壊し始めた。しかし高い塔は風や雷、太陽を使い上手く壊すことが出来ない。仲間達は力を貸し、それを下から見ていた地上の人や動植物が、カナヅチやノコギリを持ってきて叩いたり切ったりした。

そして塔は崩れまた世界は自由と再生を掴もうとしていた。



高い塔
(最も優れているものはなにをしても許されるけど、一人でも上の人がいればそれは叶わないんだ。でもみんなが集まれば結構簡単に崩れ落ちてしまうものかもよ)






















この頃の神達はやりたい放題だ。地上に降りては飲んだり食べたりして金を払わずに姿を消してしまったり、処女を無理やり持ち帰ってしまったことまである。未だに帰って来ない娘を父親は毎日泣きながら探し続けていた。父親の知人や娘の友人は素晴らしい事を思い付いた。
これからは天上をも見張る高い塔が必要なのだ!!

そして彼らは来る日も来る日もアイデアの賛同者と一緒に高い塔を作っている。神を嫌う者は案外多いからもう少しで出来上がりそうだね。




前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ