お話

□豚男
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転機はいきなりやってきた。


あの豚男が新色のバラの開発に成功したのだ。
「あぁ私の可愛いピットよ!!お前は天才で親孝行な素晴らしい息子だ!!」
農夫は叫んだ。豚男も誇らしげな顔で鼻を鳴らす。奴等はバラの苗木を作ることに全力を注いだ。翌年には1000を超える苗木が出来上がった。


今日は良い晩だ。
10年間あの暑苦しく、見ているだけで吐き気に襲われる豚男からやっとおさらば出きるなんて、農夫の胸は神を見た晩と同じように高鳴っていた。
豚男が居なくなって金持ちになって、これから私は素晴らしい人生を送るんだ。


農夫は豚男の寝室にそおっと忍び込む。手にはぎゅっと包丁を握り締め豚男の心臓目掛けて突き刺した。豚男は目を開くことなく死んでいった。





























そうだ…死んでいったのにその中からいつかの神が姿を表し、豚男に呪文を唱えた。

言い終わると豚男はむくりと起き上がり、心臓に刺さった包丁を引き抜きバラ色の顔で農夫の心臓に捻り込んだ。
「ほほう。お前は息子にそのような教育をしたのか。」











それからそれから神はバラの苗木を全て自分の住処へ持ち帰った。
そういえば農夫が死んだ晩には満月の明かりの下で悪魔が笑ってたとか何とか。




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