D灰

□ミチシルベ
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「何ですかラビ?」
「あんなに泣く事ないさ」
「え……?」
「アレンが悪いわけじゃないんだからさ」
「……聞いてたんですか」
「そりゃ聞こえるさぁ〜。あんだけ大声でなかれりゃねぇ〜」


ラビの発言を聞いて神田が鼻で笑う。


「何ですか、悪いですか」
「やっぱてめぇモヤシだな」


“モヤシ”と言う言葉にアレンは反射的に言い返す。


「うるさいですよッ! 事情も知らないくせに、勝手な事言わないで下さい!」
「ああ、確かにてめぇが泣く理由なんて知らねぇな。知る必要もねぇ」
「だったら!」
「だがな、自分の言葉に責任を持てねぇ奴はクズだ」
「ぇ……」
「モヤシ、マテールでの事覚えてるか。てめぇが言った言葉だよ」


神田はそれだけ言って、アレンの言葉を待った。
そして沈黙を塞ぐように、ラビが話しだす。


「マテールっていやぁ……アレンとユウの初任務? だよね」
「そうです……」
「アレン?」


アレンから一粒の雫が落ちる。


「あ、アレンさん!?」
「……すよ」
「え?」
「そうですよ! 僕はアクマを救いたいんですよ!」


アレンの涙はもう止まらなかった。
顔がグシャグシャになるくらい泣いている。


「だったら」
「でもッ」
「でもじゃねぇ!」


神田は下げていた顔をしっかりと上げ、真っ直ぐアレンを見つめた。


「何でてめぇはここにいる? てめぇの覚悟はそんなもんなのかよ……」
「ゆ、ユウもアレンも落ち着いてさ!」
「チッ……」


そして少し間を開けたのち、最初に口を開けたのはアレンだった。


「マナは……僕の事愛してなかったんです」
「あ? マナ?」
「……養父は僕の事利用してただけなんです」
「利用……」
「唯一信じてたマナに裏切られ、それに……自分の身体に違う人の血が流れてるなんて」


2人はアレンの言葉に口を挟む事はせず、黙って相手を見つめている。
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