マ王

□Happy Halloween!後
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ちょっと赤い顔のドレス着た俺。
普段なら鳥肌もののその姿。


「渋谷まだー?」
「むらっ」
「わぁー、渋谷お姫様みたい」
「猊下! もう少しお待ち下さいっ」
「えー」


ぼーっとしていると、村田がのんびりした声音で衣装部屋に入ってきた。
俺が入り口の方へ顔を向けると、バッチリ視線が合う。
村田は目が小さい方ではないけど、いつもあまり焦ったりしない村田が、無言で目をでかくした。
そんな固まってしまった友人を、俺は瞬きをして不思議そうに見つめた。


「村田、どうした?」
「あ……、ごめん」
「具合でも悪いのか?」
「うわっ、ちょっと!」


熱を計ろうと顔を近づけたら、真っ赤な顔をして後退りされた。
おい、いくらなんでもそれは失礼じゃないか?


「村田、いくら俺にドレスが似合ってないからって、その反応は失礼なんじゃないの?」
「違うよ……」
「相手が俺だからいいけど、本物の女の子だったら傷ついてるぞ」
「だから、違うよ」


まだ落ち着かないのか、村田はため息をつきながらしゃがみこんだ。
もしかして、思った以上に体調が良くないのか!?


「村田! やっぱり体調が良くないんだな! 俺誰か呼んで来るから、待ってろ!」
「あ、ちょっと渋谷!」


引き止める声が聞こえたけど、無視して俺は部屋を出た。
格好のせいかたくさんの通行人に見られたが、友人の緊急に恥ずかしがってはいられない。
さて、誰に声をかけるべきか。
やっぱりギーゼラ関係でギュンター?(ギュンター死亡フラグ)
アニシナさんに慣れてるグウェン?
それとも一度ヒューブを助けたヴォルフラム?
体力関係でコンラッドかヨザック?


「悩むなー」
「おや、お客様ですか?」
「え?」


突然話かけられたと思ったら、コンラッドが爽やか笑顔で前の方から歩いてきた。
どうやら、お客様とは俺のことを指しているらしい。
……もしかしてバレてない?
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