マ王
□Happy Halloween!後
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「さて。問題はどちらがもにたあになるかですが」
「もちろん渋谷がするよ」
「えぇええええ!?」
「まぁ。自ら進んでやるとは……やはり陛下ですね! そこら辺の軟弱な男どもとは違います」
村田、恨むぞ!
「さぁ。これがその薬です」
「渋谷、がんば」
えぇい! こうなったら男を見せろ、渋谷有利!
俺はぐいっと一気に煽った。するとなんとも言えない感覚が、身体全体を包みこんだ。
「苦ッ……!」
「渋谷!」
身体がグラリと傾くと、村田が支えてくれた。
でもなんか、身体が凄い熱く感じる。
「っ、はぁ、んッ」
「……エロい」
なんかこの空気の中で言っちゃいけない声が聞こえた気がした。気のせい?
「……実験は成功しました」
え、て事は、今俺は女の子に!
そういえば少し、身体が軽いような。
「しかし、髪が伸びてしまうのは誤算でした。これは改良の余地がありますね」
「前が見えない!」
「渋谷は今貞子だね」
「髪はギーゼラにでも頼んで下さい。私はこれから実験の続きをしなければなりませんので。ではごきげんよう」
赤い髪の淑女は、突然現われたと思ったら、突然去っていってしまった。
「……ギーゼラに頼りますか」
「そうだね」
今度は俺が扉を叩く。
さっき鏡を見たら、村田と身長差が10pあってムカついた。話すにはこちらから見上げなければならない。
男のプライドをズタズタに引き裂かれてしまった。
俺は今泣きそうだ。
「はい?」
「ギーゼラぁ」
「へ、陛下!?」
ギーゼラは俺の泣き顔と、体格に驚いたようだ。
「どうなさったのですか?」
ギーゼラはまるで母親のように、俺に話しかけてくれる。
「髪切って」
「え、髪?」
「服も貸して」
最初は混乱してたようだけど、状況を理解してくれたのか、すぐに部屋の中へ入れてくれる。
「倪下は少々お待ち下さい」
「はーい」
扉が閉まると、ギーゼラは近くから髪切り刃物を持ってくる。この世界にはハサミが無い。