マ王

□Happy Halloween!前
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「お、結構早かったね。じゃ僕たちも仮装衣装選ぼうか」


何気に村田、楽しそうだし……


「ランタンは何に使うんだよ」
「被れば? 中身は後でエーフェ達がお菓子に使ってくれるらしいから」
「お菓子は楽しみだけど、被る……俺ピエロみたいだな」


苦々しい顔に見えたのか、村田が茶化すように喋る。


「やっぱ正義感の塊みたいな渋谷には、道化師は気に入らないかな」


塊って村田、俺どんだけいい子ちゃんなんだよ。
確かに人一倍正義感強いけどな、真面目なわけじゃねーぞ?
誤解させとくのも悪いと思い、首を振りながら否定をする。


「いや、じゃ俺の仮装はピエロでいいや」
「そう? だったら僕は……」


どっちかつーと村田の方がピエロ似合うんじゃないかと(いろんな意味で)感じたが、それは心の中に留めておく事にした。


「じゃあ、僕は魔女かな? 男だけど」
「頭良さそうな魔女だな」
「誉め言葉として受け取っとくよ」


それを尻目に会話を一旦ストップする。着替える為だ。


「渋谷また後でね〜」
「おう」


そしてお互いが別々に括られた、言わば更衣室に入った。
更衣室に入ってる間は、相手の服が擦れ合う音だけが耳に届く。……姿を想像してちょっと笑ってしまった。
着替え終わると、村田も丁度終わったのか、少し離れたところからこちらに叫んでくる。


「渋谷〜、終わったー?」

「丁度終わったよ」
「じゃ、いっせーので! で見せるよ」
「オッケー」


最終確認を終えると、お互いにカーテンを掴む。


『いっせーのーで!!』


言葉が終わると同時に勢いよく更衣室を飛び出す。
飛び出したら、ランタンの所為でうまく視界が見えず、見事に滑って尻餅をついてしまった。


「渋谷最高ッ」
「……笑ってんじゃねーよ」


少々顔を赤くしながら、尻をさすって立ち上がる。
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