マ王

□大人と子供
2ページ/3ページ

「し、眞王」
「なんだユーリ」


俺がぎこちない笑顔で眞王の名前を呼べば、すぐに俺との距離を縮めてくれた。
というか・・・


「か、顔近すぎ!」
「ん、そうか?」


俺と眞王の距離は、お互いの鼻先が当たるぐらいの位置関係にぐっと近づいた。
さすがのヴォルフラムも、眞王のこの行動には驚いたようだ。焦っている様子が顔から見てとれる。


「おい、ちょ、息を吹きかけるなぁ」
「ユーリは反応が初々しくて可愛いな」
「セリフがかみ合ってないんですけど!」
「この後一緒に眞王廟でお茶でもどうだ?」
「遠慮しときます」
「そう恥ずかしがらずに」
「恥ずかしがってねーよ!」


このまま話し合ってても埒があかないので、俺は眞王の少し後ろに居るヴォルフに助けを求めた。精一杯の甘え顔で。
家族やギュンターに効いたこの顔が、果たしてヴォルフラムに通用するかは分からないが、やってみなくちゃ分からない事だってある。


「ヴォルフ・・・」
「な、なんだその顔は! 捨てられた子猫みたいな顔をして」


お、これはしてやったりか?
そう言えば、この前グウェンにもやったら効いたっぽいから、この兄弟には意外と通じるのかも。


「助けて・・・ヴォルフ」
「う・・・そ、そんな顔されたって、僕の力にも限界ってものが」
「ヴォルフ〜」
「ひ、卑怯だぞ!」


おし! これは確実に成功だろ!
しかし、なかなか使い道があるな、このおねだり方法。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ