マ王
□大人と子供
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「し、眞王」
「なんだユーリ」
俺がぎこちない笑顔で眞王の名前を呼べば、すぐに俺との距離を縮めてくれた。
というか・・・
「か、顔近すぎ!」
「ん、そうか?」
俺と眞王の距離は、お互いの鼻先が当たるぐらいの位置関係にぐっと近づいた。
さすがのヴォルフラムも、眞王のこの行動には驚いたようだ。焦っている様子が顔から見てとれる。
「おい、ちょ、息を吹きかけるなぁ」
「ユーリは反応が初々しくて可愛いな」
「セリフがかみ合ってないんですけど!」
「この後一緒に眞王廟でお茶でもどうだ?」
「遠慮しときます」
「そう恥ずかしがらずに」
「恥ずかしがってねーよ!」
このまま話し合ってても埒があかないので、俺は眞王の少し後ろに居るヴォルフに助けを求めた。精一杯の甘え顔で。
家族やギュンターに効いたこの顔が、果たしてヴォルフラムに通用するかは分からないが、やってみなくちゃ分からない事だってある。
「ヴォルフ・・・」
「な、なんだその顔は! 捨てられた子猫みたいな顔をして」
お、これはしてやったりか?
そう言えば、この前グウェンにもやったら効いたっぽいから、この兄弟には意外と通じるのかも。
「助けて・・・ヴォルフ」
「う・・・そ、そんな顔されたって、僕の力にも限界ってものが」
「ヴォルフ〜」
「ひ、卑怯だぞ!」
おし! これは確実に成功だろ!
しかし、なかなか使い道があるな、このおねだり方法。