特別製作
□陰陽師パロ*神アレ
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時は平安。絢爛豪華な着物を纏った貴族達が力を持つ時代。
その中でも、一際異様さを放つ人間が存在していた。
その名は陰陽師。人間にならざる術を操り、人間ならざるものをしたがえる人々。
これはある若造陰陽師の、小さな物語である。
「今日はなかなかの大物って聞いてるから、気を引き締めなければ」
この白髪の少年の名前はあれん。
まだまだ幼いながらにして、未知たる力を秘めていると期待されている陰陽師だ。
髪は小さい頃の出来事で色を失ってしまったが、普段からいろいろなものを見慣れている陰陽師達の反応は案外普通だったりする。
「僕はまだ式がいないからなぁ」
陰陽師の人達からはまるで本当の息子のように育てられたためか、いまだ式を仕えさせていないあれん。
だからといって甘えん坊に育った訳ではなく、大陰陽師のくろすに厳しく術などを教わってきたため、歳のわりに肝の据わった陰陽師であった。
そして優しい心と、枯れない笑顔が彼にはあった。
「夜は冷えるな」
澄んだ夜空を見上げながらあれんは小さく呟いた。
時刻は丑三つ時のため、道を歩いていてもあたりは閑散としている。
くろすからの指示によると、丑三つ時に教団神社の裏にある、深い森で徘徊している奴を滅してこいという事だった。
丑三つ時と聞きあれんはくろすに怒りを抱いたがそこはなんとか我慢して、怒りや不満は全てその妖にぶつけようと考え直したのだった。
「その妖には悪いけど、ここは許してほしい」
かって我侭な独り言をしゃべりながら、足は目的の神社へたどり着いた。
当たりだったのか、いつもの神聖な空気は消えうせ、あれんの体は無意識に強張ってしまう。