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□女顔
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今まで僕は、そんなに自分の顔を特別視した事はなかった。
お風呂あがりなど鏡を見る機会はたくさんあったけれど、ごく普通の、一般的な顔だとずっと思っていた。
なのにそれが最近、そうも言えない状況になりつつあるんだ。
「ミカゲ君ってお肌つるつる〜」
「・・・羨ましい」
今は2時間目が終わり、クラスは休み時間に入っていた。
僕が自分の席で次の授業の準備をしていた時、水溜ちゃんや雨堤さんが僕の近くに寄ってきたと思えば、いきなり頬を触り始めた。
女の子達にいじられる事は、嬉しくないって言えば嘘になるけれど。
2人が触り始めてから、少なくとも5分は経っていた。
なんか・・・触りすぎじゃないかな?
「・・・私も触らせてほしい」
「ユカンちゃん! どうぞそうぞ〜!」
って、水溜ちゃん! 許可を出すのは僕だと思うんだけど。
ユカンさんも水溜ちゃんの言葉だけで触らないで〜。
しかも、ちょっと頬が痛くなってきたよ。
「・・・ぷにぷに」
「ね〜! 羨ましいよね」
「何をしたらこんなになるのかしら」
男の僕としては、嬉しいような悲しいような、複雑な気分だ。
「ほんと、女の子みたい!」
「・・・顔も」
「そう言えば、最初ミカゲ君を見たときは女の子かと思ったわ」
「私も! 睫長いな〜とか思ったし、肌すっごく白かったもんっ」
ぷ、プライドが音をたてて崩れていく・・・っ。