マ王

□Happy Halloween!後
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俺がみんなに悪戯をしたいと言ったら、村田がおもしろそうな笑みを浮かべたのはほんのちょっと前。
嫌な予感をひしひしと感じながら、俺は歩きだす村田に付いていった。
取り敢えずジャックは外しておこう。


そうして着いた場所は、自称天才マッドサイエンティストの悪の巣窟。


「何でアニシナさん?」
「渋谷がしなさそうな悪戯をするって言ったら、彼女しかいないでしょ? 渋谷が普通にしたら、ウウェラー卿が絶対に気付くし」


言い返す言葉もございません。でもアニシナさんに頼るのはさすがに……。
彼女の事だ。何の見返りを要求されるか想像したくもない。


「その時は渋谷に頼るよ」
「自分だけ逃げんなよ、村田」
「やだなぁ。渋谷を頼りにしてるんだよ」
「胡散臭っ!」


しかしアニシナさん以外に良い案は浮かばず、結局は彼女に頼るよ事になった。


「アニシナさんいるー?」


村田は何の戸惑いもなく部屋の扉を開けた。せめてノックぐらいしてくれ。
部屋の内部が見えれば、能天気な村田の声が辺りに反響して響く。
すると変な機械の奥から、真っ赤な髪が揺れながら現れた。


「おや、陛下に倪下。どうしてこんな所に」
「どうもアニシナさん。実はさ用事あってね」


今までの思いつきを全て隠さずアニシナさんに伝える。意外にアニシナさんはおもしろそうに聞いてくれた。


「という事なんだよ」
「よくぞお二方、この私に頼って下さいました! それならこちらに良い案があります」


村田は相変わらずニコニコしてるけど、アニシナさんのこのテンション。
ちょっと、いや、かなりヤバい気がしてきた。


「先ほど出来た薬……その名も『これで今日から貴方もグリ江ちゃん!』です」


きたー!! しかも題名がグリ江ちゃんだよ!


「これは、どんな殿方もヨザックのように、完璧に女装が出来る薬です」
「つまり性転換?」
「さすがです、倪下」


あの説明で分かったんだ、村田。さすが大賢者。
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