マ王

□Happy Halloween!前
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今日は天気もいい。絶好の野球日和! ……のはずなんだが。


「渋谷、くり抜き終わったー?」
「まだー」


そう、何故か只今、眞魔国でかぼちゃらしきものをくり抜き始めて1時間ちょい経過。
まさか異世界に来てこんな作業をする羽目になるとは、微塵も思っていなかった。
それもこれも全ては2時間前――……





「うひゃー、やっぱこの時期になるとスタツアもきついね〜」
「厚着してくればいいんじゃねーの?」
「やっだなー渋谷、水吸って重くなるだけだって」
「そうだよなー……こうなるとやっぱ、扉欲しいよな」
「僕は扉より、ポケットがいいかな〜」
「ポケットかぁー。そこまでくると、ロボット自体欲しくなってこねぇ?」
「僕はポケットだけでいいよ」
「……あそ」


くだらない雑談を交えながら服を絞って水を出していると、砂ぼこりすら巻き上げそうな勢いで向かってくる影が視界の隅に入る。


「あれ? 何か誰か向かってき……」


言葉が思わず途中で止まってしまう。
そりゃそうだ。あろう事か物凄い形相のギュンターがタオルを手に持ち、俺たちの所へ殴りかかりそうな勢いで走って来ているのだから。


「わー! フォンクライスト卿、今日はいつにも増して汁気が多いね〜」


村田は至って冷静だ。逆にそれが当たり前という顔で、楽しそうに笑っている。


「村田、またギュンターに変な事吹き込んでないだろうな?」
「やだな渋谷。それじゃあまるで僕がフォンクライスト卿を傀儡にしてるみたいじゃないか〜」
「傀儡!? 傀儡にしてんの!?」
「だからしてないって」


物騒な事を呟く村田に突っ込みを入れていると、息をかなり切らしたギュンターが間に入ってくる。


「お迎えが遅くなって申し訳ありません陛下、猊下。少々準備が滞っていたもので……」
「準備ってなんの」
「それじゃあしょうがないね」


あれ村田、聞かないの?
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