銀魂

□今更な悩み事
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男同士の恋人関係ほど厄介なものは無いと思う。
お互いプライドが無駄に高いために素直になれず、喧嘩勃発なんてしょっちゅう。
自分の思いをストレートに伝えられたらどんなに楽な事か。
こんな俺だから、いつか捨てられそうだなー・・・なんて不安もよぎったり。
しかも俺の愛する恋人は、カッコいいから結構モテちゃって。
そんな時によく思っちゃうのが、くだらない俺の戯言。


女だったら、少しはこの関係も変わってたのかなーなんて。



「パー子どうした。さっきからボーっとして」
「ヅラぁ、テメェは悩み事なんてなさそうな頭しやがって」
「頭関係ないだろ。それを言うなら顔だ天パ」
「黙れ女顔。その頭1本残らず抜き取って、年寄りどもに高値で売りさばいてやろうか」
「はっはっは! 今のうちにいくらでも言っておけばいい。だが銀時を布団に敷いて、あんあん言わせるのはこの俺だ!」
「どさくさに紛れて何言ってんの!?」


あー、でも。俺もヅラぐらいオープンだったら、こんなに悩まなくて済むんじゃね?
いや、だがあんな変態になるのはちょっと。
絶対引かれるって。喜ばれたら俺が引くって。


「お前はホント、いつでもフル活動だな」
「なんだ、褒めてるのか?」
「けなしてんだよ」


しゃべってると疲れるし、昔のこいつはどこに消えたんだか。
あれ、昔からこんなんだったか?


「俺先に上がるわ」
「銀時、襲われたら直ぐに俺を呼べ!」
「呼ばねーし、襲われねーわ!」


こんなおっさんのオカマ、襲うなんて相当マニアックだよ。そいつの趣味を疑うよ。
あ、ここに居たか変態。


「銀時、今度酒でも飲もう」
「・・・おう」


こんな奴だけど、何も言わずに手を差し伸べてくれる。
だからこそ、俺は今でも付き合いを続けているんだ。
掛けていた上着を取れば、礼を言ってそのまま店を後にした。



「結構冷えるな」


春になってきたからといって、それでもまだ夜は寒い。
上着がないと、なかなか外は歩けない気温だ。
でも空は晴れていて、星がよく見える時期になってきた。
街灯もあって明るかったから、俺はそのまま家への近道となる裏道を歩いていった。
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