銀魂

□雪と白昼夢と銀色
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大都会の江戸にも雪が積もり、ガキ達が騒がしくなった。
そういや総悟も「決闘でさぁ」とか言いながら朝外に飛び出して行きやがったな。
決闘という名の雪合戦が仕事休む理由になるかバカヤロー。帰ったら始末書だ。


「それにしても寒ぃな」


ストーブにあたりながら外の雪を見てると、屋根に乗っていた塊が滑り落ちた。
そういや、久しぶりの晴れだな。
四季があるのは日本だけだから、俺たちが当たり前だと思っているこの雪景色も、外人が見たら褒め称えるとかなんとかニュースで言ってたな。
それにしても・・・、あの盛り上がった雪の塊を見てると嫌な奴を思い出すな。


「・・・最近会ってねーな」


会ってねーっつーか、街を見回っててもあいつの姿を最近見かけなくなった。
まぁ、どうせ家でコタツとお友達になってだろーがな。
にしても、彼氏に2週間近くも会いにこねぇってのは、どういう了見だァ?


「次会ったらもふもふしてやる」
「誰を?」


噂をすればなんとやらってやつか。
いろいろ考えていたら、いきなり俺の部屋に雪の塊が入ってきた。
その雪の塊はのそのそとストーブ前までに移動すると、勝手に温まり始めた。


「体に雪着けたまま入ってくんじゃねぇよ」
「久しぶり会ったのに冷たーい。そなんじゃモテねーぞ」
「非常識なのはそっちだろうが。勝手に屯所に入ってきやがって」
「失敬な。ちゃんとジミー君に許可もらいましたぁ」


ああ、久しぶりにこんな会話したな。
しかも俺の部屋があったけぇから、なんか眠くなってきた。
ってゆーか、もふもふしてぇ。目の前にあいつがいるのに何もせずに寝てたまるか。
俺は意識が履きりしていないせいで、勝手に銀時の方へ手が伸びていた。


「・・・すげぇ眠そうだな。寝るか?」


俺が銀時へと伸ばした手は、暖かい銀時の手に包まれた。
そのままそれをたどって銀時のところへちか近づくと、勝手にこいつの膝の上に頭を乗せる。
上からは面白そうに笑う声が聞こえた。
うるせぇ、眠れねぇ。


「久しぶりに会ったからか? 珍しいじゃん」
「・・・うるせぇ」
「あー、はいはい。ゆっくりお休み、鬼の副長さん」


それから程なくして俺の意識は深い眠りに奪われていった。
眠る直前に、口に柔らかい熱のあるものを感じた。
この感触も久しぶりだな。



夢の中で俺は広い、一面銀色の草原に立っていた。
そうか、これ全部夢か。全部銀時の色だ。
空は晴れていて、反射した雪は眩しいくらいに光っていやがる。
あいつと同じ、何をしても消えない同じ色でいっぱいだ。


(早く覚めねーかな。暇だ)


そのまま雪の上に横になって空を見ていると、かすかな声が聞こえた気がした。
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