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□リボン
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「つかぬ事をお聞きしますが、坊ちゃん」
主人の部屋にアフタヌーンティーを運んできた私の視界に映されたのは、華やかさ溢れる大量の・・・
「この尋常じゃない数のリボンは何でしょうか?」
「見て分からないのか」
残念ながら分かりかねます。
坊ちゃんが最近どこか落ち着きがないようには感じていましたが、まさかこのリボンのことだったのでしょうか?
「エリザベス様に?」
「あいつ1人に、リボンだけを大量にプレゼントすると思うか? この僕が」
「思いません」
まぁ、あげたとしたらかなりお喜びになられるでしょうね。
坊ちゃんのプレゼントですし。
しかし、私の眼前に並べられているリボンたちは、エリザベス様が好むような柄ではなかった。
無駄な飾り気が無く、1色で染められたシンプルなデザイン性の布だった。
私が記憶している中で、そこまで坊ちゃんと親しくお付き合いしている女性はエリザベス様以外覚えがありません。
考えても考えても、謎は深まるばかりです。
「あ、子供達へのプレゼントでしょうか?」
「それならば金を渡して、好きな物を買ってもらった方が楽だろう」
確かに。では、坊ちゃんの気まぐれ?
お召しになられるシャツのリボン?
まさかの、メイリンへプレゼント?
「お前の思考はだんだん答えから遠ざかってると思うぞ」
「・・・降参です。そのプレゼントは誰に渡すのですか?」
「お前がこっち方面で鈍い事がよく分かった」
失礼な事をため息とともに言いながら、坊ちゃんは1枚の布を引っ張り出すと、私に屈むよう命令を出す。
私は少し眉を寄せてから命令通りに足を曲げ、視線を坊ちゃんの位置に下げる。
身長にコンプレックスを感じたのか、坊ちゃんは表情を少し歪めました。
口に出しては言えませんが、これはかなり気分が良いです。