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□その場の勢いで行動すると99%後悔する
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「ライ、聞いて欲しいことがあるんだけど」
「あ?」


ここはハウウェザー基地内のリビング。今居るのは、ハレとライの2人だけである。
ハレは誰も居ないときを見計らって、ライに話しかけたのだ。


「何だよ」
「俺さ、夜遊びってやつがしてみたい」
「はぁ?」


ライは予想外な言葉におもわず呆けてしまった。そしてハレの顔をじっと見つめた。


「本気か? そんな事したら、ユキに」
「分かってるよ! ・・・だから今話したんだろ」


ユキはハレ達にとって、母親的存在であると同時に、絶対に逆らえない威圧感を持っているのだ。
ハレが夜遊びをしたいなどと言ったことがばれたら、きっとただでは済まないだろう。


「1人じゃ怖いからさ、ライも」


いつもならこんな事をライには頼まないハレも、今回は背後にユキがいる事で、プライドを投げ捨てたのだ。
だが、ライから返ってきた返事は、周りから見れば当然の言葉だった。


「却下」
「何でだよ!」
「何で俺がお前のせいで怒られなきゃなんねーんだよ」


ライの文句がごもっともなだけあって、ハレはぐぅの音も出なかった。
ただ恨めしそうにライを見つめるだけしか出来ないハレは、このまま諦めてしまってはプライドを捨てた意味が無いので、引くに引けなかった。


「・・・じゃあ、一緒に来なくていいから、ユキに黙っててくれ」
「お前なぁ」
「それぐらいいいだろ。頼むよ!」


ハレは両手を合わせて必死に頼み込む。
そんな姿を見つめ続けるライも、必死になって自分に頼み込むハレを無下にも出来ずにいた。


「っち、仕方ねぇな」
「良いのか!? サンキューライ!」


ハレはあまりの嬉しさに、勢い余ってライに抱きつく。突然の行動に、ライは顔を微かに染めた。


「ちょ、おい!」
「ほんと助かるぜ。今度またカラオケ行こうな!」
「お、おう」


満面の笑みで笑かけるハレに、どこかくすぐったそうに応答を返した。
ハレは笑顔を崩さずに、身なりを整えて玄関に足を向ける。


「今日1日だけだから、よろしく!」
「なるべく早く帰ってこいよ」
「分かってるって。じゃな」


ライは静かになった玄関を見つめながら、体を元の位置に戻す。
ほんの少しして、奥の居間からクモリが顔を出した。


「・・・静かだね。ハレは?」
「さぁな」


しっかりと約束は守りつつ、小うるさい自分の心臓を押さえつけるのに、ライは少なからず奮闘していた。クモリにばれないようにそっと・・・。
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