左目探偵AFTER


□双子の過去
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とある喫茶店の中、俺は小向さんと一緒にいる。
そして話した。兄との思い出、悪に染まるに至った経緯・・・


「幼い俺は、兄の苦しみに気づけませんでした・・・。」

「・・・それは、私もだ。」

「小向さんも・・・とは?」


小向さんは暗い表情で話し始めた。


「私の家は世間体を気にするような旧家でな、幼い頃から厳しく躾られた。しかも、家を継ぐのは男でなければならないという“男尊女卑”な家庭だった・・・。」

「では、典子さんは・・・」

「・・・辛かっただろうな。姉さんとは一卵性双生児なのに、性別が違うだけで家族からの待遇も違う。」


俺は小向さんの話を、信じられない気持ちで聞いていた。
俺は、父さん、母さん、兄ちゃんに・・・愛して貰えた。

典子さんは・・・愛されなかった?
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