CLANdestine

□檻に繋がれた姫君
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じっとりとした汗と居心地の悪さに目を覚ました。シャツが纏わり付く。空調は効いているはずなのに、いつの間にか分泌された脂汗で上質な布がぺたりぺたりと張り付いた。昨夜枢によってパジャマ代わりに着せられたものだ。昨日の夜...声も掠れるほどの屈辱と痛みを刻みつけられたことを思い出す。痛くて苦しくて、でもそれでいて嫌というほど快楽を植え付けられた。どこまでが現実でどこからが夢なのか、わかりはしない。その時間はいつも、どこまで続くのかと不思議になるほど長い。ただずっと、燃える枢と相反する青白い視線が冷えた炎のように私に振り落ちていたことだけが記憶に鮮明にある。

自分が、自分のものではないと思い知らされる瞬間。

...この行為はもうずっと続いている。鎖に繋がれ気まぐれに現れる枢に侮蔑される日々。いつから始まったのか、もう忘れてしまった。...いや、分からないのだ、正確には。髪ですら伸びては切られ、もう何度自身のそれと断ち別れたか知れない。窓の無い、朝と夜の判別すらつかぬ永遠に日の暮れない場所。そこには昨日の今日の線引きがなく、明日もまた存在しない。

彩りの無い日々。隔絶された世界。

枢に与えられたこの部屋が、今の私の世界の全てだった。


Sun, Aug. 7, 11'
夜明前


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