CLANdestine
□情欲に溺れる者
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重い鎖の音がジャラリと反響する。
薄暗い部屋。僅かな明かりを燈すのは、小さな燭台だけ。それすらも夜の激情に呑まれ、数本の蝋燭のみが光を有する。
そこには狂気があった。
「っ、っ...ぁッ、アァ!」
「ッはぁっ、くっ、っ理知」
情欲に溺れる男と、されるがままに翻弄される女。女の右足首からは重々しい鎖が伸びていた。刺激と酸欠。目を白黒させた彼女は空気を求め、口をパクパク動かしている。だが男は律動をやめない。それどころか以前にも増して激しく腰を振る。まるで薄い酸素の中を苦闘することで、はじめて得られる至極の快楽があるとでもいうように。
「...ッ、も、かなっ、め」
あまりにも峻烈なその動きに、理知と呼ばれた少女は許しを乞うた。太股の付け根が、びくびくと痙攣している。
「お、ねが、いッ、っも、ゆるし、っ」
「かなめっ」
だが枢はやめなかった。少女に覆い被さり、組み敷いた体勢から刺激を与える。何度も、何度も。そして時々動きを一瞬止めては再び律動を繰り返す。次第にスピードは速くなりピストンの時間が増した。ぐっと奥まで侵入しては彼女の入口をまさぐる。枢の刺激から逃げる事も取り繕う事もできず、理知の口からあぁ、と情けない呻きが漏れた。
「ッ、かなめっ、あァ!」
涼しかったはずの部屋が興奮で沸き立っていた。強烈な欲望で空気が熱くなる。醜いそれはまるで奈落の底に落ちるように貪欲にどこまでも伸びていった。どくどくと脈打つ心臓に頬は熱く火照り、汗か涙か、塩を伴った液体がぽたぽたと落ちてはシーツに吸収された。
「っ、理知っ、」
枢が少女を呼ぶと同時に、理知の足首から伸びる鎖が鈍く光った。ひときわ高い戦慄きが空気を震わす。
夜の事情が、終わった合図が鳴り響いた。
檻に繋がれた姫君