CLANdestine
□黒主学園夜間部
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「ちょっと押さないで!」
「早く出てきて〜っ」
「はいはいはい下がって下がって!」
――無愛想過ぎる門の向こうから、黄色い歓声と、それを制する一際高い少女の声が聞こえる。
「デイ・クラスの皆さんはもう門限ですから自分の寮に帰って!」
宵の刻。「月の寮」、門前。
歓喜に打ち震えるデイ・クラスの生徒と群衆の混乱に手を焼く風紀委員を余所に、興醒めた様子の枢が溜息を吐いた。
「デイ・クラスは相変わらず凄いね。取り押さえる優姫も大変だよ…
そう思わない?理知」
「…そうね。枢」
悄然とした面持ちを崩すことなく、無感情な声で隣の枢に返事をする。門の向こうは相変わらず騒がしかった。見て取れるメンタリティーの無い様子が気に入らなかったのか、彼は少しだけ、紅蓮色の瞳を細めた。
夕暮れの校舎。
吹きあがった炎のように染まった空。
――夜間部の一員として、わたし、玖蘭理知は黒主学園に居た。