CLANdestine

□恋愛論
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ーー幾つの夜を諦めながら願い続けたきたのだろう。

求められることを。
愛されることを。

報復の念でわたしを抱き他の女を想う男に悲哀の眼差しを向けた。この獣の瞳に理知という少女は写っていない。毎夜行われる意趣晴らしの行為ーーわたしは、単なる欲望の捌け口でしかないのだ。

罪人に口答えなど許されない。枢の番いを、たった一人の大切な子を、忘却の彼方に追いやった原因は間違いなく自分にあるのだから。

ーー今夜もわたしは貴方の胸で啼く。


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「ッンぐ、――っ、ひぅ」

「駄目だよ理知、声を我慢しては」


ねっとりと首筋を這うような枢の声に背中の神経がざわめいた。嫌だ、絶対に喘いでやるものかとよりいっそう強く唇を噛む。するとそれを感じ取ったのか、枢はぐちゅぐちゅと音を立てながら更に奥へ自身を私の中に孕ませていった。


「ッあ、っ」


おぞましい程の快感に一瞬だけ声が漏れるが、私は再びきつぅく唇を噛んだ。絶対に、聞かれたくない、僅かに残った理性が噛み付くように歯を唇に食い込ませる。血がたらりと顎を伝っていくのがわかった。だが枢は私の強情さを見越したように攻めるのを辞さない。それどころかもっと奥を、さらに深くをえぐり摩擦するように私を突く。


「っあ、ぁっ、」

「っ、そうだよ、理知、もっと聞かせて」


意に反して思わず声が溢れる。再び口を閉じようとするが、肺の奥から押し出されるとてつもなく熱い息に顎が言うことを聞かない。代わりに熱くなる瞼をぎゅっと閉じた。だが最奥を犯し続ける枢自身に内部をぐりっと突き動かされ、腰から下が、まるで別人のもののように熱くてたまらない。


「ひうぅッ、むっ――ひんッ!」

「君の身体はこんなにも僕を欲しているのに――」


凌辱する枢の言葉。甘い毒の切れ端を含んだそれが刺激となり、苦痛と似て非なる濃厚な絶頂感が狂喜の波となって私を襲う。突き落とされる。どこまでも貪欲に伸びていく快楽に――


「、あッ、」


身体の芯を突かれ、骨の髓からとろけるような恍惚感が広がった。涙で視界がぼやける。どんなに心は嫌がっていても、ひくつきながら狂おしい興奮が暴れ回る身体に、自分が壊れていくのが分かる。

ああ。
もう、駄目――


「あぁァンっ!」


溜めていたものが、悲鳴に似た喘ぎとなり一気に溢れる。絶対に口にしない、とあれほど誓ったのに。


「そうだよ...君は僕の言うことだけを聞けばいいんだよ...

理知」


朦朧とする意識の中、遠くの方で枢の声が聴こえる。

強烈な絶頂の真っ只中に放り出され、私の理性はこの男に無惨にも叩き潰された。



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