short

□あったかい
1ページ/6ページ



『一体何回言えば分かるんや?!!』




ドゴッ!



『ミ"ァ…!!』




『この…



バカ猫!!』






『…ニャァ…』





痛い…







――――

白石side


今日も遅くまで残業しよったからまた帰りが遅くなったわ…。


まぁ、一人暮らしやから家には誰もおらんけどな。





大学卒業後、周りから評判のいい会社へ入社することが出来た俺は
新人ながら結構いい仕事をさせてもらっとる。

そのかわりいつもいつも残業の繰り返しで夜遅くに帰って来ることがしばしばあるんや。



これで彼女とかおったらええんやろうけど
なんせ、今年彼女いない歴5年目に突入してしもた俺には彼女の支えも無ければ癒しもないんや。




あぁ、何でもええから癒されたいわ…。


それに今日は結構な土砂降りで、季節外れな気温の低くて…
気分もがた落ちや。




あ、でも明日は休みや。ゆっくりできるわ〜。












「ニャー……」






呑気な事を考えていたら雨が地面に落ちる音と共に猫の鳴き声が聞こえた。
その声は弱々しくて今にでも消え入りそうで…。

実家で猫を飼っていた俺は気になって声がした方に行ってみたら…







「…ニャ……」



公園の端に置かれたダンボールの中に子猫がいた。子猫は雨に濡れ、ずぶ濡れでブルブル震えとった。



なんだかほって置けなくて俺は急いで鞄からタオルを取り出し、その子猫を包み抱きあげた。






「このままやったら俺も風邪引くな…」



俺は子猫を一旦自分の家に連れて帰る事にした。子猫は弱々しく鳴いとった。








――――



「あ〜、さぶっ…」



公園から家が近くて良かったわ。でも途中から更に雨が激しくなって、
おかげでずぶ濡れや!!



おっと、そうや子猫を暖かくしてやらな。






部屋の電気をつけてエアコンの暖房を着ける。
それから子猫を優しくソファーに置いた。




子猫は俺に抱っこされとる間に寝てしまったみたいで目を閉じとった。






あれ…?


なんやこれ?




俺が子猫を包むのに使ったのは白地がベースのタオル。そのタオルが少し赤く染まっとる部分があったんや。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ