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□白石のジャージ
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白石はオカンみたいなやつや。ワイが悪さしとったらすぐ怒るし、毒手出してくる。
でも…むっちゃ優しいんや。
「あり?誰もおらへん」
ワイは今日珍しく一番最初に朝練に来た。いつもは部長の白石やスピードスターの謙也が部室におる。
(なんか寂しいわ)
いっつも誰かと一緒に騒いどるワイは一人が嫌いや。なんかワイだけ取り残された感じになるから。
「誰か早う来んかな…」
そんなことを呟きながら部室のベンチに座った。すると朝早起きしたから何だか眠くなった…。
パコーン、パコーン
「う…ん?…ああー!!」
ボールを打つ音が聞こえるなぁ、思ってぼーっとしながら時計を見たらもう朝練がほとんど終わっとった。
「あー、部活もうほとんどできひんわー…ん?」
今日ワイは家にジャージを忘れた。…はずなのに何でかワイの身体にはジャージがかけてあった。
(あ…これ白石のや…)
白石のだと分かるとワイは無意識にジャージを握り締めとった。それと同時に顔は真っ赤に染まった。
ジャージからはほんのり白石のにおいがした。
(アカン…なんか嬉しい!)
でも、何時までもこうしておくわけにもあかんからワイはジャージを返す為に部室を出た。
白石はテニスコートでおった。
「し…白石!」
「ん、金ちゃんおはよ」
「お…おはよ」
自分から話掛けたのにまた顔が赤くなり始めて、白石の顔が見れんかった。
「金ちゃん?」
「へ…?!あ…白石ジャージおおきに!」
「わっ!あ!金ちゃん?!」
ワイは白石にジャージを投げつけてその場から猛ダッシュで逃げた。遠くから白石の声が聞こえたけど無視して走りつづけた。
やって…恥ずかしくて死にそうやったから…。
なんなんやろ…この気持ち…。
あーもー!全部白石のせいや!
その頃白石は…
「白石どないしたん?」
「自分のジャージ持ったまんま固まってますわ」
「……とるわ…」
「「ん?」」
「このジャージ…もろ金ちゃんのにおい着いとるわ!それになんやねん!さっきの顔!むっちゃ、可愛ええ!」
「白石!鼻血!鼻血が出とるで!」
「あぁ…金ちゃん。最高や…。エクスタシー!やわ…」パタリ←倒れた。
「あ!白石ーー!」
「はぁ…ほんま…アホですわ…」
END
→あとがき