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□四天宝寺の七夕くん
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「あ…今日は七夕やったな」




俺は部活日誌を書きよる最中にふと見たカレンダーで今日が七夕だと知った。





今年は皆どんな願い事したんかいな?






俺は部室の隅に立てられている笹に手を伸ばした。





数日前今年もおっきな笹をオサムちゃんが
持ってきたから部員皆で沢山短冊に願い事を書いた。



大体の奴らが成績や部活のこと。中にはレギュラーになるって書いとる奴もおったな。



あ、小春のや。



「何々?

『ユウくんともっと笑いをとる

ハハ、小春らしいな」




ん、こっちはユウジや。



「『小春と…小春と…



小春ぅ…



大好きやぁぁぁぁ!!!』
ってなんやねん!
願い事やのーて告白やんけ!!」




まぁ、ユウジらしいっちゃユウジらしいな。




おっとこれは毒舌後輩財前君の短冊…。




「『先輩らが無事卒業出来ますように』

ってなんの心配しとんねん!」




中学生で卒業出来んかったら大事やで
まったくコイツは…



「ん?なんや?



『P.S.夏休みが早く来ませんように』」





そっかぁ、夏休み終わったら俺ら三年生は部活を引退せなアカンからな…。

財前意外と可愛ええとこあるやん。




「あ、ヘタレな謙也くんの短冊や。えっと何々?

『イグアナもう一匹欲しい!!!』


一匹で充分やドアホ!」





もっとほかに願うことなかったんかいな。
俺は謙也のこれから先の人生
絶対イグアナが一緒やと確信したわ。




あ、これは


「千歳やな。

『もっと猫たちと戯れる時間が欲しい』」



いやいや、今でも部活サボって戯れとるやん。下手したら学校より猫っていうこともあるで。いや…学校は来てないほうが多いか。






するとまるで殴り書きしたような字で書かれた短冊を見つけた。


これはどうみても…


「『タコ焼き100年分』


絶対金ちゃんやな」




100年分食べる気なんかいな流石にお腹壊すで。
でも金ちゃんなら大丈夫かもしれんな。





ん?



「なんでこんな下に?」




笹の一番低くて目立たない所に赤い短冊が付けられとった。目立ちたがり屋が多い四天宝寺の奴にしては珍しいな。




「誰やろ?小石川か?」




パラ






その短冊には







殴り書きしたような字で













『白石と毎日ずっといっしょにいられますように』








「ハハ、俺もやで金太郎」





俺らは彦星と織り姫にはならんで。




年に一度だけ会うなんて絶対いややからな?







短冊に願う君との未来



(俺の願い事は好きな人とずっとおるっと)

(そういえば小石川の短冊は?)
↑あまりにも地味過ぎて紛失した(笑)





END

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