I do not believe me.

□第一話
2ページ/10ページ





「…もうこんな時間か」

安静にしろという指示に従い、ベッドの横になっている内に眠っていたらしい。

体のダルさはほとんどない。
ただ、嫌な予感がした、とでも言えばいいのだろうか。

ぶるりと、小さく体が震えた。



「!」

不意に浮かんできた光景。

5年前のあの惨劇。
次々と現れる巨人。次々と喰われていく人々。



「はぁ…」

一応戦闘服に着替えて町に出た。

やる事もないし、でも寮にいるのも何も出来ることはない。
こんな事なら無理にでも付いて行けばよかったかもしれない。



「にしても、暇…」

昼ご飯の買い出しをしようと店に向かった。


大通りは人で賑わっている。
平和、だと思う。

しかし、5年前も平和だと思っていたんだ。




あの時も、こんな平和な…






ドオオオオンッ




「!?」

突然物凄い轟音と地響きに襲われた。

頭に響くこの音は、まさか…




「壁が、壊された…」


それから辺りからたくさんの悲鳴があがった。皆怯えている。5年前を思い出して。

音がした方は、トロスト区。
巨人が再び現れると予想されていたところだ。

まさかこんなことになるなんて…これじゃあ残った意味なんてなかったな。

いや、そんなことより俺の仕事を全うしないとな。
そう思ってトロスト区へ向かおうとした。の、だが…




「……あ」

立体機動装置、つけてなかった。






.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ